UNICORNは、顧客ニーズに基づいたプロダクト開発体制を強化するため、almaのインサイトマネジメントクラウド「Centou」を採用した。12月16日、almaが発表した。商談などで得られる顧客の声を一元管理して分析することで、開発すべき機能の優先順位付けや方向性の決定を迅速化した。顧客にとって真に価値あるサービスを提供し、事業成長につなげたい考えだ。
UNICORNは、インターネット広告事業を展開するアドウェイズグループの企業で、機械学習を活用した全自動マーケティングプラットフォーム「UNICORN」を提供している。同プラットフォームは、適切な価格での自動入札や不正広告の排除などを行い、広告主やメディアに価値ある情報流通を提供することを目的としている。大手グローバル企業を含む多くの企業に利用されており、事業は拡大傾向にある。
これまでUNICORNでは、「顧客にとって本当に役立つ機能だけをつくる」という方針を掲げていたが、複数の部署から日々寄せられる多種多様なニーズや要望の取捨選択に課題を抱えていた。開発リソースや時間は限られている中で、どの機能を優先すべきか、企画している施策の方向性が正しいのかについて確信を持ちにくい状況だった。また、プロダクト開発やPR活動において、顧客が抱える本質的な課題を把握するための共通基盤も不足しており、組織全体での認識合わせに時間を要することもあった。
そこで、顧客課題の「根っこ」を捉え、開発の意思決定を高度化するためにCentouを採用した。Centouは、インタビューや問い合わせなどから得られる定性的な顧客情報を「インサイト」として蓄積・管理し、チーム全体で共有・活用するためのクラウドサービスだ。
UNICORNにおけるCentouの活用方法は、単なる情報の記録にとどまらない。まず、営業担当者が商談などで得た顧客の声をファクトとしてCentouに蓄積し、そこから業務課題などのインサイトを抽出・構造化する。さらに、ある顧客から得られたインサイトを、あえて別の業種の顧客との会話で話題に出すことで反応を見るといった検証プロセスも実践している。これにより、顧客の共感を得たり、新たな課題を発見したりしながら、「雪だるま式」にインサイトの精度を高めている。
Centouの導入により、プロダクト開発や顧客対応の質は向上している。蓄積されたインサイトを踏まえて商談を行うことで、顧客から「自社の課題を深く理解している」という信頼を獲得できるようになり、商談の質が改善された。また、開発部門においても、顧客が抱える課題を構造的に理解できるようになったため、新機能の企画や改善施策の方向性に確信を持って取り組めるようになったとしている。PRコンテンツの制作などにおいても、訴求すべきポイントが明確になる効果が出ている。
UNICORN プラットフォームデザインユニット プロダクトマネージャーの野口萌花氏は、「売上は顧客の期待の総量であり、顧客にとって本当に役立つものだけをつくる必要がある。Centouを活用することで、様々な解決策が機能するための『課題の根っこ』を捉えていきたい」と話している。
今後は、Centouに蓄積されたインサイトを、商談、プロダクト機能のアップデート、PRコンテンツの制作など、多方面のアウトプットに活用していく方針だ。プロダクト開発だけでなく、顧客コミュニケーションを含めたあらゆる事業活動において、顧客の本質的な課題解決に資する体制を強化していく。