シン・エナジーは、電力見積もり業務のDX推進を目的に、検針票AI認識システム「SyMauto」を採用した。8月4日、同システムを提供するMONO BRAINが発表した。手作業によるデータ入力業務を自動化することで、1件あたりの作業時間を約38%削減。創出された時間をより付加価値の高い営業活動に充てることで、サービス品質の向上を目指す。
電力業界における料金試算業務では、顧客から受け取る多種多様なフォーマットの検針票を手作業で確認し、基幹システムなどへ入力するプロセスが一般的だった。シン・エナジーにおいても、この作業は膨大な時間を要するだけでなく、人的な入力ミスが発生するリスクも抱えており、長らく業務上の大きな負担となっていた。
こうした課題を解決するため、シン・エナジーはMONO BRAINと協業し、自社の業務に特化した検針票読み取りAI-OCRシステムであるSyMautoを開発、導入した。SyMautoは、アップロードされた検針票のファイル(PDF・画像)から、電力使用量などの情報をAIが自動で抽出し、CSV形式で出力するシステムだ。特に高圧の検針票においては95%という高い読み取り精度を誇る。
システムの開発にあたり、実際にシステムを利用するシン・エナジーの現場スタッフとMONO BRAINが密に連携し、実務に即した直感的な操作が可能なUI/UXを追求した。また、機密情報を安全に取り扱うため、システムはオンプレミス環境で動作するように設計されている。
SyMautoの導入で、これまで手作業で行っていたデータ確認や転記作業が効率化され、試算業務にかかる時間は1件あたり約26分から約16分へと、10分短縮された。これにより、担当者は単純作業から解放され、より付加価値の高い営業活動などに注力できるようになった。
現行システムの次の課題として、AIが抽出した結果を目視で確認する際の負担がある。この課題を解決するため、読み取り箇所を検針票の画像上で可視化する「ハイライト機能」の開発と技術実証を完了している。今後はこの機能をSyMautoに正式実装し、確認作業の時間をさらに短縮し、最終目標である「1件あたり5分」での業務遂行を目指す。