熊本朝日放送(KAB)は、StoryHubが提供するオールインワンAI編集アシスタント「StoryHub」を導入した。5月11日、StoryHubが発表した。報道制作部とデジタル編集部の両部門で活用し、動画コンテンツの記事化にかかる時間を大幅に短縮した。放送とデジタルの融合が進むなか、限られたリソースでのコンテンツ拡充と業務効率化の両立を目指す。
熊本県を放送エリアとするテレビ朝日系列のローカル局である同社は、部門ごとに異なる課題を抱えていた。報道制作部では、長尺のドキュメンタリー制作に伴う膨大なインタビューの文字起こし作業が記者の大きな負担となっていた。また、2024年に新設されたデジタル編集部では、専任2名の少人数体制でWebサイトリニューアルに向けたコンテンツ拡充が急務となっていたが、映像をもとに一から記事を書き起こす作業の重さが壁となっていた。
StoryHubの採用にあたっては、系列局である山口朝日放送での導入実績に加え、メディア業務に特化した高品質な出力、および機密性の高い行政文書なども扱えるセキュリティ環境が評価された。
導入後の効果として、デジタル編集部では10分程度の特集動画の記事化にかかる時間を、従来の3〜4時間から1時間以内へと短縮した。短いグルメ記事であれば30分から1時間程度で作成可能になり、作業時間は従来の半分以下となった。並行作業が可能になったことで、実質的にライター1名分の増員に相当する効果を実感している。リニューアル後のWebサイトにおいて、これまで手付かずだった情報系コンテンツの継続的な配信が可能になった。
報道制作部では、夜間に動画ファイルをアップロードして翌朝には高精度な文字起こしが完了する運用を実現。文字起こし作業をAIが代行することで、記者が取材や制作に充てる時間を確保でき、働き方改善にもつながっている。また、長文の行政文書の要約機能は、ニュースの見出し作成の参考としても重宝されている。
今後は、災害時の速報体制への活用も視野に入れている。自治体の発表情報を入力して速報記事を生成する運用の可能性を確認しており、報道経験の浅いスタッフでも迅速かつ正確に情報を発信できる体制の構築を目指す。
熊本朝日放送報道情報センター長の筒井孝彦氏は、「文字起こし作業の代行により、業務の時間効率が大きく改善された。StoryHubの出力は入力情報に基づいた正確なもので、報道機関として信頼できる」と評価している。また、デジタル編集部長の舩津真弓氏は、「工数の重い作業をAIが代行することで心理的ハードルが下がり、質の高い情報をスピーディーに届けるワークフローを洗練させていきたい」と話している。