東急セキュリティは、常駐警備を担う大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」において、アジラのAI警備システム「AI Security asilla」を活用した運用を行っている。7月17日、アジラが発表した。重点的な巡回エリアの常時監視をAIで代替することにより、1日あたり約3時間、月間で約100時間の巡回時間を削減。警備員の身体的負担を軽減しながら、異変への対応スピード向上と警備品質の均一化を進める。今回の取り組みにより、従来の人の目だけに頼ったモニタリング体制を見直し、限られた人員で高い安全性を維持できる効率的な警備オペレーションの構築につなげる。
渋谷スクランブルスクエアは、オフィスや商業施設、展望施設などが集まる地上47階建ての大規模複合施設である。渋谷駅直結という立地から、オフィスワーカーや買い物客、国内外の観光客など、多様な層が日々数万人規模で行き交っている。施設内には安全を確保するために650台のカメラが設置されているが、限られた人員でこれらすべての映像を人の目だけで常時監視することには限界があった。エスカレーターでの転倒や出入口付近の座り込み、禁止エリアでのスケートボード走行、夜間の寝込みなど、幅広いリスクにリアルタイムで気づき、対応できる仕組みの構築が現場の課題となっていた。
こうした課題に対し、東急セキュリティは既設のカメラ設備をそのまま活用できるAI警備システムとして、AI Security asillaを採用した。同社では、このAIによる映像解析技術と独自の警備オペレーションを一体化させたサービスを「TS-Zero」として確立し、実証実験を経て2026年4月から正式運用を開始している。選定にあたっては、新たな設備投資を抑えられる点に加え、AIが異常をリアルタイムで検知してアラートを通知する仕組みを評価した。現在は、人通りが多く特に注意が必要な重点巡回エリアに位置する50台のカメラをシステムと連携させて運用している。
導入の効果として、現場の対応スピードが向上した。これまでは事象が発生してからの事後的対応になりがちだったが、AIが異変を検知した瞬間にアラートが上がるため、気づきから判断、現場への急行にいたる一連のフローが迅速化した。また、重点エリアの常時モニタリングをAIが担うことで、1日あたり約3時間、月間で約100時間の巡回時間が削減され、警備員の身体的負担の軽減につながっている。さらに、AIが最初の気づきの部分をサポートすることで、個人のスキルや経験の差に左右されることなく、どの警備員が担当しても同じ水準で対応できる品質の標準化も図られた。
東急セキュリティで渋谷スクランブルスクエア警備隊の隊長を務める蛎崎俊之氏は、人間の目で見る限界をAIが補ってくれることで、限られた人員をより重要度の高い業務に集中させられるようになったと説明する。今後はこの活用実績をもとに、対象カメラの増台を含めた警備体制全体の強化を視野に入れる。AIとの連携をさらに深めながら、施設内の人にしかできない業務へ多くのリソースを割り当てられる効率的な警備オペレーションの実現を目指す。