オンライントラベルは、運営する高速バス予約サイトの電話問い合わせ業務を自動化した。システム基盤として、モビルスのAI電話自動応答システム「MOBI VOICE」を採用した。12月10日、モビルスが発表した。24時間365日の自動受付体制を構築し、問い合わせ件数が前年比1.3倍に増加する中で、有人対応件数を約3割削減するなどの業務効率化を達成した。
オンライントラベルは、全国の高速・夜行バスを検索・予約できるポータルサイト「高速バスドットコム」を運営している。従来、電話による問い合わせ対応は平日と土曜日の日中(10時から17時)に限られていた。しかし、夜行バスは夜間に出発するため、営業時間外や休日の急なキャンセル、忘れ物の確認といった緊急性の高い問い合わせへの対応が課題となっていた。また、観光需要の回復に伴い人手不足が深刻化する中、限られた人員でサービス品質を維持し、オペレーターの業務負担を軽減する必要があった。
そこで、すでに有人チャットやチャットボットで導入実績があり、信頼性を評価していたモビルスのMOBI VOICEを選定し、2025年6月から運用を開始した。キャンセル受付、予約変更、遺失物の照会、メールの再送という4つの業務について、AIボイスボットが自動で応答する仕組みを構築した。システム開発にあたっては、データベースと連携させることで、利用者が話した内容から予約情報を照会し、変更手続きや案内を自動音声のみで完結できるようにした。
導入から1カ月後の25年7月の実績では、電話問い合わせの総数が前年同月比約1.3倍の8185件に増加したものの、そのうち34%にあたる2768件をAIボイスボットが処理した。これにより、オペレーターによる有人対応件数は前年同月比で約28%減少した。稼働人員も約27%削減することに成功し、従来は繁忙期に必要だった他部門からの応援も不要になった。創出された時間で、オペレーターはメールやチャット対応など他の業務に注力できるようになった。
オンライントラベル コールセンター責任者の老山玲奈氏は、「営業時間外にもキャンセルや予約変更が可能になり、サイトの利便性が向上した。従業員からも、突発的なキャンセル急増時などの負担がなくなったという声が挙がっている。浮いたリソースで他のチャネルでの顧客対応に集中できる体制が整った」と話している。
今後は、AIを活用したベクトル検索型のチャットボットの導入も検討している。利用者が入力した言葉とFAQ(よくある質問)の用語が完全に一致しなくても適切な回答を提示できる仕組みを整備し、さらなる自己解決率の向上と顧客利便性の追求を目指す考えだ。