航空機エンジンの内視鏡(ボアスコープ)検査における記録・分析を効率化するシステム

2026年2月2日22:57|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本航空(JAL)とJALエンジニアリングは、航空機エンジンの内視鏡(ボアスコープ)検査における記録・分析を効率化するシステムを共同開発し、運用を開始した。2月2日、共同開発に携わったクレスコが発表した。ボアスコープ検査で撮影した動画から画像を自動抽出し、クラウドで一元管理することで、整備品質と作業効率の向上を図る。ボアスコープ検査とは、ボアスコープという工業用内視鏡を使い、人の目で直接見えない内部を観察・評価する検査方法。今後は蓄積したデータをもとに、最適なタイミングで整備を行う「予測整備」の実現を目指す。

 JALグループで航空機整備を担うJALエンジニアリングは、安全運航の理念として、イレギュラー運航ゼロ、飛行中の故障ゼロ、定時出発率100%を掲げる「ゼロゼロ100」の達成を推進している。特に航空機エンジンは過酷な環境で運用されるため、その状態を精緻にモニターすることは極めて重要だ。しかし、従来の内視鏡検査では記録や分析のプロセスに改善の余地があり、さらなる高度化が課題となっていた。

 こうした背景から、JALグループとクレスコは2019年よりボアスコープ検査支援ツールの共同研究を進めてきた。今回運用を開始したシステムは、その成果を発展させ、WEBアプリケーションとして構築したものだ。クレスコが持つ画像解析技術やAI技術の知見と、システムインテグレーターとしての専門力を、JALエンジニアリングの整備現場の知見と融合させることでシステム化を実現した。

 本システムの導入により、ボアスコープ検査時に撮影した動画からタービンブレード1枚ごとの画像を自動的に抽出し、クラウド上での一元管理が可能になった。これにより、過去の検査データとの時系列での比較や、損傷の自動認識・提示ができるようになり、整備品質の向上につながる。また、経験豊富なベテラン整備士のノウハウを可視化することで、若手への技術継承にも寄与する。

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ボアスコープ検査の様子

 さらに、日々蓄積される検査画像データと、運航中に取得するエンジンデータを組み合わせることで、故障の兆候を早期に察知する体制を整える。従来の定期整備や事後保全とは異なり、データに基づいて整備の必要性と実施時期を判断する「予測整備」へとシフトし、航空機の安全性と運航品質のさらなる向上に直結させる。

 JALエンジニアリングエンジン整備センター長の花井直人氏は、今回のシステムについて、デジタルの力でより適切かつ効果的なエンジン内部のモニタリングを可能とする非常に心強い戦力になると確信していると述べている。この診断ツールを最大限活用することで、より高い品質の航空機の運航を目指す。

 今後もJALエンジニアリングが中心となり、継続的なデータ蓄積と高度な解析を通じて、故障リスクの精緻な評価や整備計画の最適化を図る。JAL、JALエンジニアリング、クレスコの3社は、整備現場の知見とデジタル技術を融合させ、安全運航を堅持するための挑戦を続けていく。

ニュースリリース