大同病院は、患者体験の向上と院内業務の変革を目的に、セールスフォースの自律型AIエージェントプラットフォーム「Agentforce」を採用した。3月4日、セールスフォース・ジャパンが発表した。24時間365日対応のAIエージェントによる診療予約を可能にすることで、患者の利便性を高めるとともに、職員が対面ケアに注力できる環境の整備を進める。
名古屋市南部および知多半島北西部を医療圏とする大同病院は、高度急性期医療から在宅医療まで幅広く提供する中核病院だ。同院ではこれまで、コールセンターが初診や再診の予約受付を担ってきた。しかし、医療の高度化に伴い診療科ごとの予約ルールが複雑化し、適切な案内には高度な知識と経験が必要となっていた。
コールセンター業務の一部を外部委託する中で、応対品質が個人のスキルに依存し、ナレッジが蓄積されにくいことが課題だったという。また、有人対応では受付時間が限られるため、患者が都合の良いタイミングで予約を取るのが難しい状況にあった。
これらの課題を解決するため、大同病院はAgentforceの採用を決定した。従来のチャットボットとは異なり、AIエージェントが自律的に判断し、複雑な予約ルールを加味しながら適切な診療科へ導くテクノロジーの優位性を評価した。また、導入済みの「Health Cloud」やデータ基盤「Data 360」と連携し、将来的に医療情報基盤を柔軟に拡張できる点も選定の決め手となった。
今回の取り組みにより、患者がWebサイトから問い合わせると、AIエージェントが症状や要望をヒアリングし、診療科の選定から予約完了までを自動で完結させる。これにより、夜間や休日を問わない予約受付が可能になる。さらに、電子カルテや予約システムなどのデータをData 360で統合し、Health Cloudを通じて患者情報を一元管理する。スタッフが患者の状況を包括的に把握することで、よりきめ細やかな対応を目指す。
Agentforceの導入により、患者は自身のライフスタイルに合わせて医療にアクセスできるようになり、待ち時間の短縮も期待できる。病院側にとっても、複雑な予約業務の負荷が軽減され、属人化していた対応品質の均一化が図れる。データ統合が進むことで、パーソナライズされた医療サービスの提供も可能になるとしている。
今後は、医療情報システムなどのデータを統合基盤に集約し、人事や事務部門にも活用領域を広げる計画だ。最新のAI技術をプラットフォーム上でアジャイルに開発・実装することで、変化の激しい医療環境に即応できる体制を構築していく。
社会医療法人宏潤会理事長の宇野雄祐氏は、「AIが進化しても、患者の不安を汲み取り共感する医療従事者の本質的な役割は変わらない。Agentforceなどのテクノロジーを導入することで、煩雑な事務作業をAIに任せ、スタッフが人間だからこそ担える役割に全力を注げる環境を作りたい。今回の取り組みは未来の医療現場のあり方を定義する重要なステップだ」と述べている。