ANA大阪空港、備品管理DXで捜索時間を年間2312時間削減

2026年3月4日16:42|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ANA大阪空港は、大阪国際空港(伊丹空港)において、歩行補助具の所在をリアルタイムで可視化する位置情報ソリューション「Beacapp Tag」を採用した。2026年3月4日、製品を提供するビーキャップが発表した。車椅子やベビーカーの管理を効率化し、年間で約2312時間の業務時間を削減した。創出された時間を顧客対応に充て、サービス品質の向上につなげる。

 ANA大阪空港は、大阪国際空港と神戸空港を拠点にANAグループなどの空港オペレーションを担っている。大阪国際空港では、高齢者や子供連れ、体調不良の利用者向けに車椅子やベビーカーなどの歩行補助具を95台保有し、ターミナル内の複数の場所で貸し出しと返却を行っている。

 同空港ではこれまで、広大なターミナル内で歩行補助具がどこにあるのかを即座に把握することが難しく、利用者の要望に対して手配に時間がかかるなどの課題を抱えていた。特に到着便の利用者が補助具を希望した際、到着口に在庫がない場合は他の場所から捜索して運搬する必要があり、スタッフが到着の30分前から捜索を始めるケースも少なくなかった。備品の確認と再配置に要する時間は、スタッフ数名の合計で1日あたり7時間20分に達していた。

 こうした背景から同社は、手作業に頼っていた所在確認を効率化するため、ITツールの導入検討を開始した。選定にあたっては、伊丹空港特有の1階と2階に分かれたフロア構造をまたいで検知できることや、ビーコン端末が小型で長寿命であることを評価した。また、スタッフが日常業務で使用しているiPadで操作できる点も決め手となり、2024年12月から試験導入を開始。2025年4月から本導入に至った。

 導入後は、95台の歩行補助具に小型ビーコンを取り付け、ターミナル内の保管場所に受信機を設置した。これにより、スタッフはiPadを通じて各保管場所の配置台数をリアルタイムで把握できるようになった。導入前は1日平均7時間20分かかっていた確認・再配置作業は、1時間まで短縮された。月間では約193時間、年間では約2312時間の削減に相当する。

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レンタル用ベビーカーに設置されたビーコン端末とスタッフがiPadで管理する様子

 作業の効率化により、スタッフがロビーやゲートでの顧客対応に専念できる環境が整った。導入後の社内アンケートでは、約80%のスタッフが「利用者からのお困りの声が減った」と回答しており、サービス品質の向上を実感している。

 ANA大阪空港旅客サービス部業務課の沖川公輔氏は、単なるコスト削減ではなく、たとえコストがかかったとしてもアウトプットが最大化されるのであれば積極的に取り組むという姿勢を示している。同じく旅客サービス担当アシスタントチーフの織田桃歌氏は、Beacapp Tagの導入によって業務の効率化が進み、生まれた時間を多くのスタッフが顧客対応に活用できていると話す。

 現在はANA大阪空港が担当する南ターミナル内のみが可視化の対象だが、今後は駐車場や北ターミナルなどを含めた空港全体での一元管理を目指す。空港全体で備品の所在を把握できる環境を整備し、利用者が必要なときにいつでも補助具を提供できる体制を強化していく。

ニュースリリース