常石造船は、調達システムのモダナイゼーションプロジェクトにおいて、API・マイクロサービス基盤として「Kong Konnect」を採用した。6月10日、Kongが発表した。既存の基幹システムを刷新するだけでなく、業務ドメインごとにシステムとデータを整理し、将来的なAIエージェントやLLM活用を見据えたAPI・マイクロサービス基盤の構築を目指す。
常石造船は造船・海運業を中心に展開する常石グループの中核会社で、国内のほかフィリピンや中国にも拠点を持ち、船舶の建造と修繕を営んでいる。同社の調達システムは、購買や鋼材発注、在庫管理などの重要業務を支えるミッションクリティカルな基幹システムだ。しかし、15年以上にわたり稼働してきたことで複雑化やドキュメント不足が進んでおり、システム停止が工場全体に及ぼすリスクもあったため、従来の調査・分析アプローチでは多大な工数と期間を要し、投資判断が難しい状態が続いていた。
こうしたなか、グループ経営の強化や海外展開における業務高度化を推進するため、同社はAIを活用した最新の開発アプローチの導入を決めた。リファクタリングAIエージェントを活用して数千本に及ぶ既存コードの構造分析や技術負債の可視化を実施したところ、従来は長期化が避けられなかった現行システムの調査・分析を2日間で完了した。設計や実装、テスト工程においても従来想定比で70%以上の工数削減、最終移行完了までの開発計画全体で70%以上の期間短縮を見込んでいる。
AIによる解析をもとに機能を九つマイクロサービスに分割することとし、これらを安全かつ柔軟に接続・管理するAPI基盤としてKong Konnectを選定した。認証・認可やセキュリティポリシーを一元管理できる堅牢性に加え、既存システムから新システムへゲートウェイを介して安全かつ段階的に移行できる柔軟な運用性を評価した。また、移行フェーズに応じてレートリミットや将来的なAIトークン管理などのプラグインを段階的に追加できる拡張性や、LLMが業務データへ適切にアクセスできるデータパスを確立できる点も採用のポイントとなった。
常石造船では、今回の刷新を起点として周辺システムへの展開を進め、将来的にはAIアシスタントが自然言語で業務支援やデータ活用を行う環境の実現や、グループ横断の共通調達基盤の構築を目指す。
同社執行役員経営管理本部情報戦略室室長の森悟志氏は、「変化に即応し続けるためにはITの主導権を自社が握る完全内製化が不可欠だった。先進技術とAI駆動開発を掛け合わせることで、従来の常識を覆す開発スピードを実現できる。今後はこれをグループ共通のDX基盤へと水平展開し、グループ全体の競争力を圧倒的なスピードで引き上げていく」と話している。