三井住友カードは、コンタクトセンターの応対業務を自動化するため、Gen-AXの自律思考型AI音声応対ソリューション「X-Ghost」を活用した「AIオペレーター」を採用した。12月3日、両社が発表した。生成AIを活用した自然な対話で、24時間365日の顧客対応を可能にする。将来的には電話による問い合わせの過半数をAIで完結させ、安定したサービス提供体制の構築を目指す。
三井住友カードのコンタクトセンターには、カードの利用に関する内容など、月間50万件を超える問い合わせが寄せられている。これに対し、安定した応対体制を継続的に構築することが課題となっていた。そこで、顧客からの問い合わせに安定的かつ24時間365日応対できる体制を整えるため、実証実験を経てAIオペレーターの本格導入を決定した。今回の取り組みは、2025年5月に同社とソフトバンクが締結したデジタル分野における包括的業務提携の一環となる。
採用したAIオペレーターは、Gen-AXが開発したX-Ghostを基盤としている。「Speech-to-Speechモデル」を活用することで、従来の音声認識技術で課題となっていた情報の欠損や応答の遅延(レイテンシー)を抑制し、人間らしい自然な対話が可能だ。また、モニタリングAIによるリスク判定やガードレール制御によって安全性を担保しているほか、会話の文脈に応じた社内APIとの連携も備えている。
従来のガイダンスに沿ったメニュー選択式とは異なり、AIオペレーターは顧客の発話を起点に応対を行うため、より円滑な回答が可能になる。導入の第1弾として、三井住友カードを装った不審な通知に関する問い合わせ対応から開始する。2025年度内には、カードが使えない際の問い合わせにも対応範囲を広げる予定だ。
今後は対応する用件を順次拡大し、2028年度末にはコンタクトセンターへの問い合わせの過半数をAIオペレーターが対応することを目指している。先端技術を活用して顧客一人ひとりに最適な対応を提供し、いつでもつながる安心感と利便性を備えたコンタクトセンター運営につなげたい考えだ。