関電工は、設備工事の概算積算を行う「自動項目概算システム」を構築した。システム開発と変革支援にはULSコンサルティングが協力した。7月30日、ULSコンサルティングが発表した。手作業による業務負荷や属人化を解消し、従来は最大で1〜2週間かかっていた算出時間を数十分程度に短縮した。
総合設備企業の関電工は、働き方改革への対応や生産性向上、2030年に向けたデータドリブン経営の実現を目指し、業務プロセスの変革を進めている。その一環として設備工事の概算積算業務へのAI導入を検討していた。従来は手作業による積算作業が多く、見積もり提出に時間がかかる点や、ベテラン社員への依存度の高さが課題となっていた。過去に外部事業者と取り組んだ概念実証(PoC)では期待通りの成果が得られなかったため、ULSコンサルティングへ相談した。
相談を受けたULSコンサルティングはデータ分析に基づき、現時点でAIにすべてを任せるのは難しいと判断。AIによる確率的な処理と、ルールに基づくロジック処理を併用する構成を提案した。具体的には、過去案件の呼び出しや金額算出は既存の手作業を踏襲したロジックで行い、表記の揺れや自然言語からの情報抽出にはAIを活用する仕組みとした。
開発はアジャイル方式を採用し、プロトタイプの作成と現場からのフィードバック反映を重ねて進められた。約1年半の開発期間を経て運用を開始している。
同システムの導入により、積算作業の時間は従来の1〜2週間から数十分程度に削減された。見積提出の迅速化に加え、営業担当者が早期に概算金額を把握できるようになり、積算担当者との認識の違いが解消され、業務負担の軽減につながった。今後はシステムの精度向上や他システムとの連携を進める。
関電工 積算センター副センター長の鈴木保氏は「弊社は人が処理するロジックだけでは対応しきれない業務のシステム化にハードルの高さを感じていた。今回は複数の部署のノウハウを横断的に結集することでプロジェクトを成し遂げられた。社内のイノベーション創出のきっかけをもらったことに感謝している」と話している。