日本スケート連盟、富士通の骨格認識AIで選手の動きを3次元化しトレーニングを強化

2025年7月5日16:50|ニュースCaseHUB.News編集部
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 日本スケート連盟は、フィギュアスケート選手のトレーニング強化を目的に、富士通が提供するオファリング「AI Technologies and Solutions」の骨格認識AIを導入した。7月5日、富士通が発表した。これまで困難だった氷上での高速かつ複雑な動きを3次元で正確に分析し、選手への迅速なフィードバックを可能により競技力の向上を目指す。

 フィギュアスケートのトレーニングにおけるデータ活用では、選手のジャンプやスピンといった高速で複雑な動作を正確に分析する必要がある。しかし、従来のモーションキャプチャー技術は、機材の設置や選手の体にマーカーを装着して試技を行うことが難しく、活用に制約があった。また、映像を基に解析する一般的なマーカーレス技術では、姿勢のブレや誤認識が発生しやすく、解析できる演技数に限りがある上、分析結果を得るまでに時間がかかるという課題を抱えていた。

 今回導入した骨格認識AIは、富士通が体操競技の採点支援システムで培ってきた、人の動きを3次元デジタル化する高精度な技術がベースになっているという。独自の補正アルゴリズムにより、ディープラーニングによる画像解析で課題だった姿勢認識の推定誤差を大幅に低減できるとしている。日本スケート連盟は、数秒で分析結果を出力できる高速性や、解析する演技数に制限なくトレーニングの改善に生かせる点を高く評価し、採用を決定した。

 この技術を活用した分析の仕組みは、フィギュアスケートのナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点である関空アイスアリーナに導入する。実運用開始に向け、2025年7月3日から5日にかけて開催されるトレーニング合宿で、実際にスケートリンクにおけるジャンプのモーションデータを収集、解析する。既に実施している地上での計測データとの比較も行う。今後は骨格認識AI技術の活用機会をさらに広げ、大会中の動作解析などへの展開も検討するとしている。

 日本スケート連盟理事でフィギュア強化部強化部長の竹内洋輔氏は、「従来のマーカーベースの解析では、選手の試技が行えず、解析に多大な時間を要し、選手へのフィードバックが非常に遅くなるなど課題があった。富士通の骨格認識AIの精度の高さと高速な結果出力は、これらの問題を解決し、選手の競技力向上に迅速に寄与するものとして期待している」と話している。

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