ソニー銀行は、勘定系システムの実開発に生成AIを本格適用した。9月14日、ソニー銀行と富士通が発表した。富士通の勘定系ソリューション「Fujitsu Core Banking xBank」上で生成AIを活用し、基本設計から結合テストまでの開発期間を従来比30%短縮した。今後は要件定義や運用保守などへ適用範囲を広げ、市場変化へ迅速に対応できる銀行を目指す。
日本の金融業界では、新たなサービスの企画から提供までに数カ月から年単位の期間を要するケースが多く、高い開発コストや複雑な開発プロセスが課題となっていた。市場環境の変化へ迅速に対応するためには開発体制の変革が不可欠であり、ソニー銀行は勘定系システムの開発プロセスの刷新を模索していた。
ソニー銀行の勘定系システムには、AWS上で稼働するクラウドネイティブなFujitsu Core Banking xBankを採用している。同ソリューションはマイクロサービス構造を備えており、機能単位で段階的な適用や評価がしやすい。AWS環境により生成AIサービスとの迅速な連携や検証が可能である点を生かし、開発工程への生成AI適用を決定した。
2025年9月からソニー銀行と富士通は、AWSジャパンの協力も得ながら、本番稼働中の勘定系システム開発への生成AI適用を開始した。AWSのフルマネージド生成AIサービス「Amazon Bedrock」上で、Anthropicの大規模言語モデル「Claude」やAIコーディングツール「Claude Code」を中核とするAIエージェントを活用。設計書、ソースコード、テスト資産といった開発資産を工程横断で連携させ、前工程の成果物を後続工程で再利用できる仕組みを整えた。単なる実証実験(PoC)にとどめず、金融業務とシステム開発の知見を持つ富士通の人材が適切なタイミングで評価・改善を行い、人による判断・承認・品質保証のもとで実開発を支援した。
適用効果として、2026年7月時点で基本設計から結合テストまでの工程において工数を40%削減し、開発期間を30%短縮した。工程別では、基本設計工程で影響調査工数を最大90%削減し、詳細設計工程では設計書作成工数を最大40%削減した。製造工程ではソースコード生成率99%を達成し、結合テスト工程でもテスト実行工数を最大90%削減した。オンライン取引処理やバッチ処理を含む多様なアプリケーション開発において、品質と生産性の両立を確認したとしている。
今後、ソニー銀行と富士通は、今回得た知見と開発資産をほかの工程やシステムにも活用し、ソニー銀行における生成AI活用を深化・拡大する。富士通は、今回の知見を「Core Banking xBank」の開発や他の金融機関向け開発にも展開する方針だ。
ソニー銀行執行役員の福嶋達也氏は、変化する顧客ニーズや事業環境に迅速に対応するためシステム開発力の高度化を重要な経営課題と位置付けているとしたうえで、本番稼働中の勘定系システム開発への生成AI本格適用はAIを前提として進化する銀行を目指す大きな一歩であり、今後も安全性と品質を確保しながら進化を推進したいと述べている。