ホンダモビリティランドは、運営する「鈴鹿サーキット」において、IVRyが提供する対話型音声AI SaaS「アイブリー」を採用した。4月21日、IVRyが発表した。モータースポーツやアミューズメントなど4事業にまたがる膨大な受電業務をAIが自動で振り分けることで、スタッフの応対負荷を軽減し、顧客接点のデータ資産化を進める。
鈴鹿サーキットでは、性質の異なる4事業(モータースポーツ、アミューズメント、リゾート、交通教育)への多岐にわたる問い合わせが月間数千件あり、それが一つの窓口に集中していた。各施設の専門知識が異なるためスタッフへの負荷が高く、特にF1等の大規模イベント時には爆発的な着電が発生し、人員配置のみでの対応は構造的に限界を迎えていた。また、夜間は代表電話をホテルへ転送していたが、専門外の質問に答えられず顧客体験を損なう懸念もあった。
アイブリーの採用にあたっては、現場の状況に合わせて分岐設定を即座にカスタマイズできる柔軟性が決め手となった。緊急性や難易度に応じて「電話転送」と「SMS案内」に振り分ける設計を構築し、現場主導で機動的に運用できる体制を評価した。
導入の効果として、受電業務の約45%が自動化された。これにより、スタッフ1人あたりの電話応対当番が1日2回から1回へと半減し、企画立案や営業活動といった本来業務に注力できる環境が整った。また、24時間365日の自動受付体制を構築したことで、夜間の多言語問い合わせに対してもSMSを通じてWebサイトへ誘導するなど、機会損失の解消を実現している。
さらに、通話開始時の録音アナウンスが抑止力となり、カスタマーハラスメントによるスタッフの心理的負担も減少した。自動文字起こし機能により、応対品質の振り返りやデータに基づいたサービス改善も容易になった。
今後は、蓄積された着電データの分析を深め、顧客の困りごとを先回りして解消するデータドリブンな顧客体験の設計に挑戦する計画だ。ホンダモビリティランド鈴鹿サーキットカスタマーサービス部主任の高橋氏は、「人が心を込めて対応すべき領域を大切にしながら、DXを活用して鈴鹿サーキットならではのリアルな感動体験を磨き上げていきたい」と話している。