カカクコム、生成AIで顧客対応の属人化解消 月間450時間の業務削減

2025年8月19日11:02|ニュースCaseHUB.News編集部
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 カカクコムは、カスタマーサービス部門における業務の標準化と効率化を目的に、生成AI搭載のオペレーター支援ツール「KARAKURI assist」を採用した。8月19日、「KARAKURI assist」を提供するカラクリが発表した。問い合わせの初期対応業務を中心に月間450時間相当の業務削減につながったほか、属人化していた業務の標準化や社内の生成AI活用文化の醸成にも貢献している。

 カカクコムが運営する購買支援サイト「価格.com」のカスタマーサービス部門では、商品を比較検討する顧客や出店店舗などから多種多様な問い合わせが寄せられる。2006年の部門設立以来、ナレッジの蓄積と共有を進めてきたが、業務範囲の拡大に伴い、担当者間での対応品質やスピードにばらつきが生じ、業務の属人化が課題となっていた。クラウド上で共有されていたナレッジは検索性が低く、現場担当者からは必要な情報を見つけるのに時間がかかるとの声が上がっていた。

 こうした背景から、同社は経験に頼らず誰もがスムーズに対応できる環境の構築を目指し、AIを活用した支援ツールの導入を検討。複数のツールを比較した結果、「導入のしやすさ」「UIのわかりやすさ」「柔軟なカスタマイズ性」を評価し、KARAKURI assistの採用を決めた。

 導入後、同部門では問い合わせの初期対応における業務効率化と対応品質の向上に取り組んでいる。従来課題だったナレッジの検索性が改善され、必要な情報をKARAKURI assistが適切に提示する仕組みを整備したことで、情報検索にかかる時間を大幅に短縮した。さらに、生成AIがナレッジを基に返信文のドラフトを自動で作成する機能を活用することで、担当者は検索や文章作成の手間を最小限に抑え、迅速かつ正確な初期対応が可能になった。これらの取り組みで、月間450時間相当の業務時間削減を達成した。

 また、よく使うテンプレートをショートカット登録するなど、担当者ごとに画面を個別最適化できる柔軟なカスタマイズ性も、ツールの円滑な社内定着を後押しした。各担当者が自身にとって使いやすい形でツールを運用できるため、現場の負担を増やすことなく、属人化していた業務の標準化が大きく前進した。ツール活用により生まれた時間的な余裕は、担当者の意識変革にもつながり、利益貢献を意識した自発的な改善活動や、より付加価値の高いフォローといった行動にも発展している。

 カカクコム 価格.comカンパニー プロダクト本部 カスタマーサービス部長の別所信也氏は、「全社的な生成AI活用推進に先駆け、現場起点でKARAKURI assistを導入したことで、生産性を高めて会社に貢献するという意識が自然と醸成された。UIがシンプルでわかりやすく、業務の流れを止めずに活用できる点が現場から好評だ。今後は人海戦術に頼る体制から完全に脱却し、顧客満足度の向上につなげていきたい」とコメントしている。

ニュースリリース