塩野義製薬は、医薬品開発における規制関連文書の作成を支援するソリューションを採用した。2月24日、システムの提供および導入支援を担う日立製作所が発表した。生成AI(人工知能)を活用して新薬の申請に必要な膨大な治験データを自動で抽出・要約し、文書作成時間を最大で50%削減した。今後はバイオ医薬品分野への適用も視野に入れ、医薬品開発のスピードアップと現場の負担軽減を図る。
医薬品開発の過程では、治験実施計画書や治験総括報告書といった規制関連文書の作成が不可欠だが、これには通常3カ月から5カ月という長い期間を要する。特に実務を担うメディカルライターの作業負担は大きく、一試験あたり100時間から280時間に及ぶ。これらの文書には極めて高い専門性と正確性が求められるため、作成プロセスの効率化が業界全体の課題となっていた。
加えて、近年の医薬品開発は複雑性が増しており、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足も深刻な懸念事項となっている。こうした背景から、塩野義製薬と日立製作所は2025年1月から開始した業務提携に基づき、生成AIを活用した文書作成支援ソリューションの共同開発を進めてきた。
同ソリューションは、日本語と英語が混在する膨大な情報から必要な項目を抽出し、規制関連文書の初稿を作成する機能を備えている。開発にあたっては、日立製作所が持つITやドメインナレッジと、塩野義製薬のメディカルライターの知見、データサイエンティストのAI設計力を結集。現場の業務フローを精緻に反映させることで、導入直後から実務で活用できる仕組みを構築した。
塩野義製薬が実施した概念実証(PoC)では、顕著な成果が確認されている。治験総括報告書の作成時間は約50%、治験実施計画書の作成時間は約20%削減された。利用者からも、全体的な時間短縮につながるという高い評価を得た。直感的なインターフェースを通じて操作できる点も、作業効率の向上に寄与している。今回の取り組みを通じて、両社は医薬品・ヘルスケア業界の生産性向上に貢献し、新薬をより早く患者に届けるモデルケースの創出を目指す。