須恵町、給付金審査AIの実証実験 6割超の時間外申請へ即時対応し業務効率化

2025年12月9日18:15|ニュースCaseHUB.News編集部
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 須恵町は、定額減税調整給付金の審査業務において、AIを活用した実証実験の成果をまとめた。トヨクモクラウドコネクトが発表した。全体の6割を超える開庁時間外の申請に対し、AIが即時に不備を検知して通知することで、行政運営のタイムロスを解消できることを確認した。AIを審査の代替ではなく補助として活用し、住民サービスの向上につなげたい考えだ。

 福岡県糟屋郡に位置する須恵町は、定額減税調整給付金(不足額給付)のオンライン申請データを対象に、AIを用いた「本人確認審査」および「口座確認審査」の実証実験を行った。実際の申請データを用いてAIの判定精度や業務フローへの影響を検証した。

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申請補助AIの利用フロー

 実験の結果、オンライン申請の約64%が開庁時間外(平日夜間や土日祝日)に行われていることが明らかになった。従来の人力による審査では、これらの申請に対する不備の指摘は翌営業日以降となっていたが、AIを活用することで受付直後に審査を実行し、その場で申請者に不備を通知できるようになった。これにより、翌朝には不備が修正された状態で職員に引き継がれるため、審査完了までの期間短縮と行政運営の効率化が期待できる。

 審査精度については、マイナンバーカードの裏面チェックや口座情報の確認において、AIがおおむね妥当な判定を行うことを確認した。一方で、画像の反射や文字化けによる誤検知も一部見られた。このため、AIが最終的な審査判断を行うのではなく、あくまで申請者の入力補助や審査員の確認補助として利用することが適切であると結論付けた。

 今回の結果を受け、トヨクモクラウドコネクトは当初「審査AI」としていたサービス名称を「申請補助AI」に変更した。申請者の不備修正を支援する機能を2025年12月にリリースし、その後、審査員の業務を補助する機能も順次開発していく計画だ。

 報告書では、「AIが責任を伴う審査業務を置き換えるのではなく、申請者の申請を補助し、審査員の審査を補助する領域で活躍するとわかった」と総括しており、今後は須恵町をはじめとする全国の自治体で、申請・審査を伴う住民サービスの向上に寄与していきたいとしている。

ニュースリリース