大林組は、設計初期段階の法令・条例調査にTektomeの建設特化エージェント知能基盤「Tektome」を試験導入した。2026年8月19日、Tektomeが発表した。全社で推進する生成AI活用の一環として、設計者の調査業務を効率化するとともに、専門部署との連携を円滑にして設計品質の向上を目指す。
設計や施工の業務では、建築基準法や消防法、省エネ法に加え、地域ごとの条例や告示など幅広い法令の確認が求められる。特にプロジェクト初期は条件が未確定な中で関係法令を洗い出し、設計方針に関わる論点を早期に把握する必要がある。大林組では建築基準法に基づく許認可関連業務を担う建築法制部が設計者からの相談や法的レビューを担当しているが、設計初期の論点整理に時間を要することが課題となっていた。
こうした背景から同社は、設計者による初期調査と建築法制部のレビューの間をAIエージェントでつなぐ仕組みとしてTektomeを採用した。Tektomeは、建築基準法や関係条例などの法令情報に加え、大林組独自のチェック基準や確認手法といった企業固有の知見を蓄積したエージェント知能基盤だ。プロジェクトの用途や規模、所在地などの条件をもとに適用条件や論点を掘り下げ、根拠となる条文とともに回答を提示する。確定できない論点は「要確認」として示し、最終的な判断を人が行う前提で運用されている。
検証では、法令調査や要件整理にかかる時間が1人あたり週平均4.3時間から1.4時間へと短縮され、週平均で約67%にあたる2.9時間の削減効果を確認した。現場では、設計中に生じた疑問を投げかけて論点を整理する壁打ちや、法制部への相談前に検討漏れを防ぐセルフチェックの二つの手法で活用されている。
設計本部建築設計部の鈴木氏は「自分一人では知っている範囲の中でしか探せないが、Tektomeは頭に入っていないところまで拾ってくれるため安心感がある。チームでは用途変更時の条件比較にも活用しており、同じ条件でまとめて整理できる点も役立っている」と語る。また、同部の菊地氏は「いろいろな法令を一度に調べられるため調査時間を大きく短縮でき、設計に費やす時間を増やせると感じている。回答には根拠が示されるため自分で確かめられ、社内資料にも活用できる。事前に論点を整理したうえで法制部に相談できるため、やり取りもより効率的になる」と話している。
大林組とTektomeは今後も試験導入を通じて有効性を検証し、組織の知見を日々の設計判断に生かす協働の定着や、さらなる活用方法の検討を進める方針だ。