スペースアイランド、自動発注AIで工数8割削減 職人技を標準化し品揃え強化へ

2025年12月10日17:57|ニュースCaseHUB.News編集部
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 スペースアイランドは、発注業務の効率化と属人化解消を目的に自動発注AI「α-発注」を採用した。12月10日、同サービスを提供するinfonervが発表した。導入により発注業務の時間を70~80%削減したほか、熟練担当者の経験に依存していた業務の標準化に成功した。創出された時間を商品ラインナップの拡充に充て、顧客ニーズへの対応力を強化する考えだ。

 スペースアイランドは、日本各地のこだわり商品を取り扱うオンラインショップ「にっぽん津々浦々」を運営している。事業拡大に伴い取り扱い品目(SKU)や仕入先が増加する中、仕入先ごとに異なるロットや入り数、取引条件に対応するため、発注業務が特定の担当者の知識に依存する「職人技」となっていた。

 従来の発注業務は、複数のシステムを行き来しながらExcelへの転記やPDF化、入荷後の照合作業など細かな手作業が多く、工数が肥大化していた。担当者は休日や旅行先でも対応を迫られるなど精神的な負担が大きく、担当者の不在が仕入れの停止に直結するリスクも抱えていた。本来注力すべき新商品の選定や仕入先とのコミュニケーションに時間を割けないことも課題だった。

 過去にはアプリケーションの外注開発などで効率化を試みたが、複雑な仕入条件への対応や需要予測の精度に課題があり、属人化の解消には至らなかった。そうした中、大規模な開発を行わずに仕入条件を含めたロジックを標準機能でカバーできる点を評価し、α-発注の採用を決定した。需要予測から発注リストの生成、メール送信までを一気通貫で自動化できる点や、コスト、操作性、サポート体制のバランスも選定のポイントになった。

 α-発注の導入により、複数システムとのデータ連携からAIによる需要予測、仕入先ごとの条件を加味した発注リストの自動生成、発注メールの送信までを1つのサービスで完結させる体制を構築した。導入初期には、これまでの担当者による判断とAIの算出結果を細かく照合しながら慎重に運用を開始。そのプロセスを通じてAIのロジックへの理解を深め、徐々にAIを活用した業務フローへと移行した。

 導入の結果、仕入先1社あたり約10分かかっていた発注作業が2~3分に短縮され、全体の工数を70~80%削減できた。また、長年特定の担当者の経験に支えられてきた業務を新卒2年目の社員へ引き継ぐことが可能になり、属人化の大幅な解消につながった。さらに、在庫の回転率をSKU単位だけでなく仕入先単位でも把握できるようになったことで、在庫構成の見直しや品質改善にも寄与している。

 スペースアイランド代表取締役社長の小崎雅俊氏は、「SKUの特徴や仕入条件を覚えていないと判断ができず、発注はいわば職人技のような業務になっていた。α-発注があれば無理なくSKUをさらに増やせると感じており、今後も品揃えを磨き込むことで、より顧客のニーズに応えられるショップを目指したい」と話している。

 また、小崎氏は同様の課題を持つ企業に対し、「α-発注を導入すれば煩雑さから解放され、労力が大幅に減る。月次の実績データをもとに在庫を見直すことで在庫品質が向上し、企業成長の基盤となる在庫の健全化につながる。発注に追われるのではなく、顧客のニーズに合った商品ラインナップを考える時間を確保できるようになる」とコメントしている。

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