東京メトロ、AI画像解析でレール腐食を自動検知 8月から千代田線で本格運用

2025年9月29日09:05|ニュースCaseHUB.News編集部
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 東京地下鉄(東京メトロ)は9月26日、AIと画像解析技術でレールの腐食を検知するシステムをNEC、NEC通信システムと共同開発し、8月に千代田線で本格導入したと発表した。営業列車で撮影したレール画像から腐食の位置やサイズを自動で特定できるという。腐食の進行度に応じた計画的な保全が可能になり、効率的な保守運用に寄与するとしている。

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システム画面のイメージ(出典:NEC)

 東京メトロでは、以前からCBM(状態基準保全)の技術開発を推進しており、軌道分野のメンテナンス効率化も重要な検討課題だった。特に、河川や濠に近接する区間は湿潤な環境であるためレールの腐食が進みやすく、その管理が重要となっていた。

 この課題に対応するため、NEC、NEC通信システムと共同で2019年度から3年をかけて千代田線の一部区間で実証実験を実施。2023年度にはレールの腐食の位置とサイズを正確に検知できるシステムを共同開発した。その後、2024年度にはさらなる精度向上と追加検証を進め、2025年4月から千代田線での試験運用を開始。同年8月に本格運用へ移行した。

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システムの仕組み(出典:NEC)

 今回開発したシステムは、NEC通信システムのプラットフォーム「映像点検監視基盤」をベースとしている。営業列車に搭載された線路設備モニタリング装置で撮影したレールの画像をシステムに取り込み、AIと画像解析技術で分析することで、腐食を自動的に検知する仕組みだ。具体的な技術としては、NECのAI技術群「NEC the WISE」の一つであるディープラーニングを搭載した機械学習ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」の領域抽出機能を活用。これにより、腐食箇所をピクセル単位で抽出し、位置の特定やサイズの把握を自動化する。広範囲の解析を短時間で確認でき、高い精度を実現したという。

 東京メトロは今回のシステム導入を、AI活用による軌道保守の新たな取り組みと位置付けている。腐食の検知から、その進行度に応じた計画的な保全が可能となり、レールの効率的な保守運用につなげる。今後は同システムを他路線にも拡大する予定で、将来的には保線業務全般への活用を進めていく方針だ。

ニュースリリース