日油グループのNOFメタルコーティングスは、発注・請求業務のデジタル化を目的にインフォマートの「BtoBプラットフォーム 受発注 for 製造業」と「BtoBプラットフォーム 請求書」を採用した。11月14日、インフォマートが発表した。これにより、紙やFAX、メールに分散していた帳票処理を一元化し、発注先の75%との取引を電子化。請求書関連の作業時間は大幅に削減され、今後は蓄積したデータを経営判断に役立てる基盤強化を目指す。
NOFメタルコーティングスは、自動車部品や産業機械向け金属防錆処理剤の開発・販売を手掛け、表面処理技術「ジオメット」シリーズは世界シェア50%以上を誇る。同社では、月平均100件もの請求書や発注書を紙、FAX、メールで受領しており、各部門での明細単位の手入力や、紙帳票の目視チェックが現場に大きな負荷となっていた。同社は単なるデジタル化ではなく、承認ワークフローを含めた処理を単一のプラットフォーム上で完結させ、確定データを基幹システムに連携できる仕組みの構築を目指し、2023年より両製品の段階的な導入を決めた。
採用にあたり同社は、BtoBプラットフォーム 請求書について、請求書の受取、発行、保管までを横断して処理できる機能や、AI-OCRを介して紙やPDFの請求書も同じプラットフォームで処理できる点を評価した。特に、作成したデータをCSV出力し、既存の基幹システムとスムーズに連携できる点が要件を満たしていたこと、また、費用対効果の観点から導入・運用の総コストを抑えられる見通しが立ったことが決め手となった。
導入の結果、業務効率は高い水準で改善された。請求書受領から承認、保管までの時間を大幅に削減でき、経理部門では、請求書データの会計システムへの連携から仕訳処理、ファイリングまでにかかる時間が導入前に比べ20%程度削減された。たとえば、担当分だけでも3営業日かかっていた作業が半日程度に短縮されるなど、約80%の時間削減を実現した例もある。
また、発注先の75%に対しBtoBプラットフォーム 受発注 for 製造業から発注する企業の垣根を超えた効率化を実現。紙やPDFで受け取る残りの請求書も「BP Storage for 請求書」で取り込み、BtoBプラットフォーム 請求書に連携することで一元管理できている。これにより、バラバラに扱っていたフローが整理され、チェックや監査対応もしやすくなった。
NOFメタルコーティングスは今後、短期的に発注データと基幹システム上の在庫・会計システムを連携させ、手入力に依存していた在庫積み上げ処理を解消する方針だ。中長期的には、請求業務全体をワンストップで管理できる状態を目指すとともに、単なるペーパーレスに留まらず、蓄積したデータを分析して経営に貢献するフェーズへシフトする考えだ。
同社の業務企画部 デジタル推進グループ グループリーダーは、単機能のデジタル化ではなく、前後の業務とつながる「線と面」で仕組みを選ぶことが大事だと指摘している。また、デジタル化を進める上で、最終的に経営判断へ貢献する基盤へ育てていくことが最短距離だと述べている。