ハローデイは、店舗業務の効率化と働き方改革を目的に、日立製作所(以下、日立)のAIを活用した「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注システム」を採用した。12月10日、日立と日立ソリューションズ西日本が発表した。導入により、全49店舗における1カ月間の総労働時間を前年比で6837時間削減し、残業時間を7.9%削減した。また、自動発注率は90%以上に達し、欠品率も減少するなど、人時生産性の向上にもつながっている。
ハローデイは福岡県を中心に熊本県、山口県で食品スーパーマーケットを展開している。同社は「アミューズメントフードホール」という独自の店舗コンセプトを掲げ、店舗ごとに売場のレイアウトや商品配置、陳列方法を工夫しているのが特徴だ。一方で、こうした店舗ごとの個別性が、一般的な発注システムの適用を困難にしていた。昨今の労働力不足を背景に、店舗人員不足への対応や生産性向上が課題となっており、2023年から新たなシステムの検討を進めていた。
採用したシステムは、店舗ごとの多様な条件に柔軟に対応できる点が評価された。各店舗の売場スペースや商品配置の違い、取引先ごとの納品条件などを考慮し、発注ロジックを個別に自動調整する機能を備える。また、AIが過去の販売実績に加え、天候や曜日、イベントなどの外部要因を学習して需要を高精度に予測する。2024年1月のパイロット導入を経て、2025年6月に全49店舗での稼働を開始した。

システムの導入効果は大きく、業務の大幅な効率化につながっている。デイリー商品やグロサリー商品など1店舗平均7000アイテムを対象に運用した結果、自動発注率は90%以上を達成した。これにより発注業務が標準化され、前年同月比で総労働時間を大幅に短縮したほか、人時生産性は8.4%向上した。欠品率も6.99%減少し、販売機会の損失削減にも寄与している。現場の発注担当者からは、過剰発注が減ったことで心理的負担が軽減されたとの声も上がっている。
今回のプロジェクトは、日立がシステム設計や全体管理を、日立ソリューションズ西日本が現場導入やインターフェース構築を担当する体制で進められた。ハローデイは今後、同システムを系列の「ボンラパス」6店舗へ展開する予定だ。さらに、生成AIを活用した予測精度の向上や業務Q&Aのチャットボット化などを進め、業務全体のさらなる自動化と効率化を目指す。