博報堂プロダクツ、経費精算チェックをAIで自動化 工数9割削減、ガバナンス強化も

2025年12月18日16:07|ニュースCaseHUB.News編集部
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 博報堂プロダクツは、AIを活用した経費精算チェック業務の自動化に向けた実証実験を実施した。12月17日、システムの導入を支援した日本IBMが発表した。経費精算業務の約90%をAIで自動化できることを確認した。2026年からの段階的な実務導入に向け、業務プロセスの抜本的な再設計を進める方針だ。 

 博報堂プロダクツは広告制作や業務支援を幅広く手掛ける総合制作事業会社であり、これまでも広告制作の現場などでAI活用を推進してきた。 一方で、バックオフィスにおける経費精算チェック業務は、ガバナンス強化のために多段階の確認プロセスを設けていたことから、業務が複雑化。 毎月発生する膨大な申請件数に対し、担当者の業務負荷が増大しているほか、確認作業の品質をいかに統一するかが課題となっていた。 

 こうした課題を解決するため、日本IBMはAIを中心に据えて業務プロセスを再構築する「AI+(AIファースト)」のアプローチを提案。 単なる部分的な効率化にとどまらず、AIと人が協働して価値を最大化するビジネスモデルの構築を目指した。 

 2025年8月から4カ月間行われた実証実験では、経費精算チェックの手順を整理し、一元化された手順書を作成。 その内容と証憑や申請データをAIに読み込ませ、社内規定との整合性を自律的に判断する仕組みを構築した。 これにより、AIが申請の不備や規定違反を自動検知し、既存の経費精算システム「SAP Concur」と連携して承認や差し戻しまでを自動で行えるようにした。 

 実証実験の結果、AIによるチェック精度は90%以上を記録し、人間と同等以上の精度で安定運用できることが確認された。 一次チェックをAIが代替することで、担当者は高額申請やイレギュラー案件といった高度な判断を要する業務に注力できるようになり、業務全体の工数を90%以上削減できる見通しだ。 また、目視による属人的な判断を排除し、全社的なチェックレベルの標準化とガバナンスの高度化も実現した。 

 博報堂プロダクツは今後、バックオフィス領域でのAI活用範囲をさらに拡大し、全社的な生産性向上と業務最適化を加速させる。 

ニュースリリース