藤田医科大学岡崎医療センターは、医療業務支援に特化した生成AIサービス「GaiXer Medical Agent」の本格運用を開始した。4月22日、同サービスの開発を手掛けるFIXERが発表した。退院サマリーや看護サマリーの作成を自動化することで、医療従事者の事務負担を大幅に軽減し、働き方改革と医療の質の向上を同時に図る。
2024年4月から適用された「医師の働き方改革」により、医療現場では抜本的な業務効率化が急務となっている。特に診療記録を基にした医療文書の作成は医療従事者にとって大きな負担となっており、24時間365日体制の救命救急を担う同センターにおいても、IT活用による負担軽減が課題となっていた。
同センターは、すでに藤田医科大学病院で導入され、医師の92%が業務改善効果を実感している実績を評価し、本格導入を決めた。採用にあたっては、電子カルテの膨大な診療記録を大規模言語モデル(LLM)が要約し、自然な文章を数秒で生成できる機能性を重視した。また、入力されたデータをAIの追加学習に利用しない設計となっており、機密性の高い医療情報を安全に扱えるセキュリティ体制も評価のポイントとなった。
導入後の効果として、対象となる職員340名へのアンケートでは、退院サマリーおよび看護サマリーの作成支援により、合計で月に約900時間の作成時間を短縮できたことが確認された。従来は1件あたり10分から15分を要していた書類作成が、数回のクリックで完了可能になった。加えて、音声入力機能の活用により、医師がパソコン画面ではなく患者と向き合う時間が増え、診療の質の向上や患者満足度の向上にも寄与している。
今後は、診断書や診療情報提供書など、AIが対応する文書の種類を順次拡充していく計画だ。藤田医科大学岡崎医療センター脳神経外科教授の早川基治氏は、「AI支援により医師の精神的な負担軽減にもつながっている。単なる業務効率化にとどまらず、患者中心の医療を推進する強力なツールとして期待している」と話している。