静岡市役所広報課は、デジタル窓口「AIコンシェルジュ」として顧客対応AIエージェント「Generative Navigator」を導入した。8月5日、同製品を提供するカラクリが発表した。公式ウェブサイトやLINE公式アカウント上で運用し、回答率は96.2%に達した。市民の自己解決を支援するとともに、会話データから潜在的な要望や災害時の懸念事項を可視化している。
静岡市役所広報課は、市民の声を聴く広聴と、市の取り組みを発信する広報の両面を担っている。同市では代表電話に年間約14万件、コールセンターに年間約3万件の問い合わせが寄せられていた。従来から市民とのデジタル接点強化を模索していたが、FAQやシナリオ作成に伴う職員の運用負担などを懸念し、導入を見送っていた。
同市では、慶應義塾大学との共同研究「自治体広報のあり方」での提言をきっかけにプロポーザルを実施。5社の提案を比較検討した結果、公式ウェブサイトの情報のみで回答できる点や、職員の運用負担が少ない点、曖昧な質問に対してAI側から確認の質問を行って適切なページへ誘導する対話性能を評価し、Generative Navigatorの採用を決めた。
導入にあたっては、各所管課の職員が参加する精度検証を実施し、行政特有の用語や制度に関するプロンプトを調整した。実質1カ月半の構築期間を経て、2026年3月に運用を開始した。
導入後は、閉庁時間帯の利用が40.3%を占めるなど市民の自己解決が進んでいる。また、問い合わせデータの分析により、電話では把握できなかった市民の意図や課題の抽出が可能になった。同市は今後も収集した対話データを活用し、公式ウェブサイトの構造改善や広報活動の最適化を進める考えだ。
静岡市広報課は「市民が自分の言葉で質問した際、聞き返しを通じて正しい情報へ案内できる点は重要だと感じた。今後は会話履歴から具体的な困りごとを把握し、公式ウェブサイトの構造見直しや広聴・広報活動の精度向上につなげたい」としている。