フェイスネットワークは、セールスフォース・ジャパンのAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」とデータ基盤「Data 360」を導入した。セールスフォース・ジャパンが9月28日に発表した。物件の仕入れ情報入力にかかる時間を約90%削減したほか、設計基準やルールの確認作業も大幅に短縮した。今後はルーティン業務へのAIエージェント活用を広げ、顧客対応や戦略策定など高付加価値業務へのシフトを目指す。
フェイスネットワークは、東京の世田谷区、目黒区、渋谷区の城南3区を中心に、新築一棟RCマンションの開発や販売を展開する不動産デベロッパー。土地の仕入れから設計、施工、賃貸募集、物件管理、販売までを一貫して手掛け、2001年の設立以来300棟を超える開発実績を持つ。事業拡大に伴って図面や法律文書、過去案件などのデータが社内に蓄積されていたものの、活用は経験豊富な社員の知識や判断力に依存していた。また、多くの関係者が関わる開発プロジェクトで進捗情報や課題をリアルタイムに共有する仕組みの整備が求められていた。
そこで同社は、既存の「Sales Cloud」や「Service Cloud」に蓄積された業務データを活用するため、構造化データと非構造化データを統合して扱える基盤としてData 360を導入した。土地情報、法令データ、設計図面、過去案件の知見などを一元管理し、その基盤上でAgentforceが横断的にデータを参照・分析する環境を整えた。
Agentforceの活用範囲は多岐にわたる。取得した用地情報や物件概要書、法令・条例などを総合分析して事業化のリスクを自動提示する「用地事業性評価エージェント」や、図面や類似データから収益性への影響や購入判断のポイントを提示する「設計検証エージェント」を構築した。さらに、設計・施工案件の進捗や懸念点を週次で分析する「プロジェクト進捗管理エージェント」、社内設計ガイドラインを参照して基準やルールの質問に答える「設計ガイドラインエージェント」も運用している。
導入から半年で具体的な効果が表れている。物件概要書を見ながら手入力していた作業は、従来1件あたり約5分かかっていたが、自動入力により約30秒に短縮され、約90%の工数削減となった。入力ルールの標準化によって入力漏れや担当者ごとの差異も解消し、データ品質が向上した。また、設計基準やルールの確認作業は従来5分から30分程度を要していたが、アンケートでは80%が3分以内、40%が1分以内に必要情報へアクセスできるようになったと回答した。
システム構築にあたっては、SalesforceのPremier Success Planを活用し、外部SIerに頼らず情報システム担当者主導で設計・構築・運用の体制を確立した。新たな用途にも自社で柔軟に対応できる体制を整えている。
フェイスネットワーク総務人事部情報システム課長の今関真輔氏は、「Agentforceの導入にあたり、最初に取り組んだのはデータを信頼できる状態にすることだった。Data 360により、土地情報や法令データ、設計図面、過去の検討ノウハウを一元化でき、AIエージェントが信頼性の高いデータを参照・活用できる基盤が整った。導入から半年で複数の用途を全社展開できたのは、Salesforceのサポートと社員の前向きな姿勢によるものだ」とコメントしている。
今後は「Agentforce Coworker」の全社展開を進める計画だ。定常的なルーティン業務をAIエージェントが担うことで時間を創出し、顧客対応や戦略策定といった高付加価値業務への注力を進める。