オムロン、AIプラットフォームで技術伝承を促進 暗黙知の資産化で設計品質向上

2026年3月27日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 オムロンは、全社横断での設計品質向上に向け、キャディが提供する製造業AIデータプラットフォーム「CADDi Drawer」を採用した。3月26日、キャディが発表した。ベテラン技術者が持つ暗黙知をデジタル資産化することで、属人化の解消と技術伝承の推進を図る。拠点や部門を越えたナレッジの共有により、グローバル競争力のさらなる強化を目指す。

 オムロンは、制御機器やヘルスケア、社会システムなど多角的な事業を展開するオートメーションのリーディングカンパニーだ。同社が全社を挙げて設計品質の向上に取り組む背景には、加工品設計に携わる技術者の高齢化に伴うリソース減少と、長年蓄積されてきた高度な知見が失われることへの強い危機感があった。組織間での情報分断も課題となっており、有識者が不在となった後に若手社員が必要なナレッジに辿り着けない状況が発生していた。

 開発プロセスの最上流にあたる設計段階で品質を作り込むことは、後工程での手戻り防止や量産後の不具合低減に直結する。商品のQCD(品質・コスト・納期)を高める上で不可欠なこの工程を強化するため、技術現場からはナレッジ伝承を求める切実な声が上がっていた。こうした状況を受け、同社のグローバル購買・品質・物流本部が主体となり、CADDi Drawerの実用化検証を開始した。

 導入前は特定のベテラン社員に知識が偏り、情報の探索に多大な工数を要していたが、CADDi Drawerの活用により技術データの統合と資産化を実現した。これにより、部門や拠点の垣根を越えて必要なナレッジを即座に検索できる環境が整った。若手社員が自律的に課題を解決できる体制へと変化しはじめており、組織全体の生産性向上につながっている。

 具体的な成果として、データを起点に社内の有識者を即座に特定できるようになったことが挙げられる。異なる事業部のナレッジを横断的に活用することで、設計品質の底上げも進んでいる。実用化検証を通じて、技術情報の属人化解消に確かな手応えを得ている。

 オムロンのグローバル購買・品質・物流本部で開発購買推進室加工技術グループ長を務める桑江伸明氏は、導入の狙いは部品の設計品質向上にあるとした上で、CADDi Drawerに格納された他部門の技術文書を読み解くことで、社内の有識者が誰であるかが判明するようになったことは大きな変化だと述べている。将来的には、単に人とつながるだけでなく、その人の持つ暗黙知まで継承される状態を目指し、プロダクトの活用を通じて人と人のつながりを強固にしていきたいとしている。

 今後は、現在検証を行っている部署以外の事業部にも取り組みを拡大し、全社での活用を目指す。主要な開発拠点が保有する技術ナレッジをプラットフォーム上で共有・統合し、場所を問わず最適な情報へアクセスできる体制を構築する。さらに、ナレッジを介したコミュニケーションの基盤としても活用を深め、開発から購買に至るプロセス全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく。

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