九州工業大学は、教育研究環境を支える仮想化基盤を刷新した。システム基盤として、オープンソースソフトウェア(OSS)ベースの仮想化プラットフォーム「Proxmox Virtual Environment(Proxmox)」と、NetAppのオールフラッシュストレージ「NetApp AFF C250」を採用した。3月26日、導入を支援したネットワールドが発表した。新基盤は2025年3月末から本格稼働を開始しており、LMS(学習管理システム)「Moodle」など100台以上の仮想サーバーを集約。従来課題だった性能・容量不足を解消し、将来のAI活用を見据えたデータ管理基盤としても運用していく。
九州工業大学情報基盤センターは、情報システムやネットワーク、セキュリティの研究とともに、学内デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を担っている。同大学ではハードウェアのサポート終了に伴い、仮想化基盤のリプレースを計画していた。
背景には、コロナ禍を経て加速した教育環境の変化がある。同大学では講義室の端末を廃止し、学生が個人のPCを持参するBYOD方式へ移行した。これに伴いOSSのMoodleの利用が急増したが、旧基盤では容量が不足。一部のサーバーやデータを別環境に切り離して運用せざるを得ない状況だった。また、教員が保有する研究データが学内に散在しており、今後のデータ分析やAI活用に向けて一元管理する基盤が求められていた。しかし、昨今のハードウェアやライセンス費用の高騰により、従来のハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品では、必要な性能を予算内で確保することが困難になっていた。
新基盤の選定にあたっては、コスト抑制と拡張性を重視し、ハイパーバイザーにOSSのProxmoxを採用した。国内での導入事例はまだ限定的だったが、検証を経て採用を決定。構築を担当した三井情報は、Proxmox環境での安定性を考慮し、接続方式にNFS(Network File System)を選択した。ストレージには、同大学で運用実績があり、高い信頼性と性能を持つNetApp AFF C250を組み合わせた。
新基盤の導入により、学内サービスのレスポンスは向上した。NetApp AFF C250が提供する高いI/O性能により、スループットは約200から300MB/sを記録。仮想マシンの迅速な起動が可能になったほか、高負荷時でも安定したサービスを提供できるようになった。
データ管理面では、NetAppの独自OS「ONTAP」が備えるデータ保護機能を活用。教育研究データを取り扱う仮想マシンを、安全かつ一元的に管理できるデータストアを構築した。これにより、将来的なビジネスインテリジェンス(BI)やAI活用で想定される大規模な負荷にも耐えうる、性能と運用性を確保した。
今回の刷新は、前回調達時とほぼ同等の予算規模で実現しながら、性能と容量を大幅に拡張することに成功した。Proxmoxの採用でライセンスコストを抑えつつ、NetAppによる強固なデータ基盤を構築したことで、コスト最適化と高度な教育研究環境の両立を実現した。