日本コンピュータ開発は、企業理念の浸透と自律型組織の実現を目的に「NCK AI」を開発、導入した。3月30日、NCK AIの開発を支援したTHAが発表した。創業40年の節目を迎え、長年大切にしてきた経営理念を社員の日常的な判断軸として定着させる狙いだ。AIとの対話を通じて社員が自律的に行動できる組織文化を醸成し、次世代の組織モデル構築を目指す。
1984年設立の日本コンピュータ開発は、生産管理システム「FUSE」やRFIDサービス「FABRIGATE」などの自社プロダクトを展開する神奈川県のIT企業だ。同社は創業以来、「社会に役立つ仕事をしよう」といった経営理念を掲げ、製造業を中心とした企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援してきた。
同社では企業理念を重んじる文化が根付いている一方で、組織の拡大に伴い、抽象的な理念を日々の実務や意思決定にどのように落とし込むかという課題に直面していた。そこで、理念と実務を直結させる新たな取り組みとして、THAが提供する「AI社長」を活用した独自の対話型AIの導入を決めた。
NCK AIは、単なる業務効率化ツールではなく、社員の思考を深める伴走型AIとして設計されている。RAG技術を用いて社内の知識ベースを検索・活用するだけでなく、徹底的なヒアリングに基づき言語化された同社独自の価値観を統合している点が特徴だ。
具体的には、キャリア相談や業務判断、企画へのフィードバック、マネジメント支援など幅広い場面で活用する。AIは単に正解を提示するのではなく、問いかけを通じて社員に気付きを与え、NCKの価値観に基づいた判断の軸を提示する。これにより、特にリーダー層の視座向上や、社員一人ひとりが主体的に判断し行動できる環境を整える。
学習データには、経営方針やリードマネジメント手法に加え、自社製品の情報や業務プロセスなども含まれている。推測や捏造を排除し、確実な情報のみを提供する設計とすることで、最終判断は人が行うことを前提とした信頼性の高い運用を実現している。
日本コンピュータ開発代表取締役の江口圭司氏は、組織が成長するほど理念を単なる言葉に留めず、日々の行動で体現していくことが重要になると指摘する。今回の導入は理念を社員の思考に深く根付かせるための挑戦であり、AIとの対話を通じて社員が自ら考え、主体的に行動できる組織文化を築きたいと考えている。AIを単なる効率化の道具ではなく、組織のあり方を進化させる存在と位置づけ、誠実に価値を生み出し続ける会社でありたいとしている。
日本コンピュータ開発は今後も、理念に基づいた迅速な意思決定が可能な自律型組織への進化を推し進め、IT技術を通じた社会課題の解決に貢献していく。