TAPP、AIエージェントでセミナー対応を自動化 顧客体験向上と窓口負担削減を両立

2026年3月31日18:51|ニュースCaseHUB.News編集部
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 TAPPは、顧客体験の質の向上と顧客サポートの効率化を目的に「Agentforce」を採用した。3月31日、Agentforceを提供するセールスフォース・ジャパンが発表した。同社は急成長に伴い見込み顧客数が年間で41%増加しており、比例して増え続ける問い合わせ対応の負荷が課題となっていた。導入により、AIエージェントがセミナーの日程変更やキャンセルなどの一次対応を担うことで、問い合わせ解決率約90.3%を達成したほか、月間約100件の問い合わせ削減や月間60件の来場者確保といった具体的な成果につなげている。

急成長の裏で生じた顧客対応の限界とAI選定の背景

 投資用不動産の販売・コンサルティングを手がけるTAPPは、初心者向けの資産運用セミナー「キャピタルハック」を運営し、累計申込数が15万人を超えるなど事業を急速に拡大させている。同社取締役の乾 晋也氏は自社の目指す姿について、単に利益を出すだけでなく、顧客にとって価値ある利益を設計するパートナーでありたいとした上で、「一部の人に寄りがちだった資産形成を、社会のインフラとして変えていける会社を目指したい」と語る。

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TAPP 取締役 CHRO 乾 晋也氏

 しかし、事業の急成長に伴い、既存の人力による対応体制は限界を迎えつつあった。従来は夜間や休日の問い合わせへの回答が翌営業日以降に持ち越されるなど、対応の遅れが顧客体験を損ねる要因となっていた。執行役員の齊藤 喬氏は、増え続けるリードに対し「このままでは対応の質が下がり、顧客体験を毀損してしまうホラーシナリオが見えていた」と当時を振り返る。解決策としてAIの活用を検討する中で、自社の業務基盤であるSalesforceとの親和性の高さに加え、金融商品を扱う上で不可欠なセキュリティ面の堅牢性、そして開発スピードが早いことが決め手となり、Agentforceの採用に至った。

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TAPP 執行役員 VP of Marketing 齊藤 喬氏

1カ月で実装した「セミナー問い合わせエージェント」の成果

 具体的な取り組みについて、マーケティング部の笠原祥太氏は、最も工数がかかっていたセミナーの日程変更やキャンセル対応を最初のターゲットとしたことを明かす。一般的な解決策であるBPO(業務委託)の検討も行われたが、24時間365日の即時対応と、将来的な自社データの利活用を重視し、AIによる自律的な対応を選んだ。実装プロセスにおいては、開発パートナーの協力を得ながら、現場の課題を徹底的に洗い出して優先度の高い業務に絞り込んだ。結果として、構築から検証、リリースまでを約1カ月という短期間で完了させた。

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TAPP マーケティング部 データマネジメントユニット チーフ 笠原祥太氏

 導入したエージェントの効果は、KPIとして設定した数字に明確に表れている。齊藤氏によると、導入前はリード増に比例して増えると予想されていた問い合わせ数がほぼ横ばいで推移しており、月間約100件の削減に匹敵すると試算されている。AIによる対応で懸念された対応の質についても、AIエージェントによる問い合わせ解決率が90.3%に達しており、日程変更の要望に即座に応えることで、月間60件の来場者を確保するに至っている。齊藤氏は「AI活用のゴールを顧客体験の向上にこだわり、人件費削減を目的としなかったことが奏功した。人間とAIでやれることを徹底的に探した結果だ」と評価する。

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人を介さずセミナー問い合わせエージェントが日程変更に対応する様子

精度を支えるデータ基盤と今後の展望

 AIエージェントの精度を支えているのは、同社が3年前から注力してきた泥臭いデータ整備の取り組みだ。笠原氏によると、入力漏れを集計してSlackで担当者にメンションの形で自動通知する「入力パトロール」や、営業現場から「社内エバンジェリスト」を巻き込んでデータの重要性を浸透させる運用を継続してきた。これにより、AIが参照するための正確なデータが整い、実用性の高い回答が可能になったという。

 今後、同社はさらなる顧客体験(CX)の強化を目指し、確定申告セミナーなどの案内を行う「顧客サポートエージェント」や、社内向けの業務支援として「銀行打診エージェント」の開発を進めている。現場を支える強力な「仲間」としてAgentforceを位置づけ、人とAIが協働して最大の成果を出す組織づくりを推進する。

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