昭和精工、AI図面管理で現場の知を共有 不具合削減と品質安定化を両立

2026年4月2日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 昭和精工は、製造業の知を継承するAI図面管理「図面バンク」を採用した。4月1日、図面バンクを提供するNew Innovationsが発表した。多品種少量生産の現場において過去の加工履歴やノウハウへの迅速なアクセスを可能にし、作業のバラつきを抑えることで品質の安定化と不具合の削減を目指す。

 昭和精工は、自動車や食品容器、リチウムイオン電池向けのプレス金型を手掛ける総合メーカーだ。設計から製作までワンストップで対応し、製品の試作や開発、金型構想の検討段階から顧客をサポートしている。従業員数は88名で、そのうち6割以上にあたる59名が製造部門に所属する体制を敷いている。

 同社では以前から、過去の部品や類似品の図面を参照する際、情報の検索性に大きな課題を抱えていた。図面番号での検索ができないほか、名称検索では表記揺れによって必要な情報がヒットせず、探し出すまでに多大な時間と手間を要していた。また、数カ月から数年という間隔を空けて同じ製品を加工するケースがあるが、治具情報や加工ノウハウ、不具合記録などが一元管理されていなかった。このため、情報の取得状況にムラが生じ、生産性や品質の安定性に影響を及ぼしていた。

 こうした課題を解決するため、同社のQCチームを中心にツールの検討を開始した。複数のサービスを比較検討する中で、図面バンクの検索スピードの速さや一覧表示の見やすさを評価した。PC操作に不慣れな現場作業者でも直感的に扱える操作性の高さに加え、費用対効果や担当者の熱意も決め手となり、採用に至った。

 導入後は、図面に関連するあらゆる情報を紐づけて一元管理している。具体的には、使用治具や作業動画、3Dモデル、過去の不具合記録、加工ルールなどを蓄積。さらに、図面にQRコードを添付し、現場のスキャナーから瞬時に図面バンク内の情報へアクセスできる仕組みを構築した。これにより、作業者が迷わず必要な情報にたどり着ける環境が整い、作業手順の標準化が進んでいる。

 具体的な成果として、現場での情報共有が活性化し、不具合の着実な減少を実感している。過去の加工手順に即座にアクセスできるようになったことで、判断のバラつきが解消され、作業効率も向上した。また、現場から「決まり事や不具合があれば図面バンクに残そう」という声が上がるなど、情報を蓄積する文化が浸透しつつあり、属人化の解消にも寄与している。

 昭和精工生産部製造課の山村氏と高梨氏は、今後の展望について、情報の蓄積が進んだことでAIを活用した検索性のさらなる向上に期待を寄せている。類似品の情報や過去のノウハウをより効率的に呼び出すことで、現場の判断スピードと品質をさらに高めたい考えだ。また、作業者一人ひとりがタブレットを持ち、その場で必要な図面やノウハウを確認できる環境整備も目指している。これにより、経験年数に関わらず全員が同じ情報に基づいて作業できるようにし、品質の均一化や現場教育の効率化を加速させる。

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