ジェーシービー(JCB)は、新卒採用選考の質向上を目的に、デジタル面接プラットフォーム「HireVue」のAIアセスメント機能を活用している。4月2日、HireVueの日本市場での販売を担うタレンタが発表した。録画型の面接データをAIで分析し、社会人基礎力を客観的に測定することで、選考の公平性を確保しながら現場社員の負担を大幅に軽減した。
日本発の国際カードブランドを運営するJCBは、「学生にとって良い選考」を重視し、SNSを活用した広報やキャリアアドバイザー制度など、多様な採用施策を展開している。同社が抱えていた大きな課題は、選考プロセスにおける現場社員の過度な負担だった。2025年卒採用まではプロセスの一部に現場社員による面接を組み込んでおり、その対応時間は合計で約900時間に達していた。
この多大な面接対応により、学生が求める「事業内容や社風を深く知りたい」というニーズに応えるためのOB、OG訪問や、入社後の不安を解消するキャリアアドバイザー制度に協力できる社員のリソースが不足する事態となっていた。現場社員が本来担うべき学生との対話機会が損なわれている状況を改善するため、同社は選考のデジタル化とAI活用の検討を進めた。
2026年卒採用から導入されたHireVue AIアセスメントは、構造化面接の手法を用いてコンピテンシーを自動判定するソリューションだ。プロの面接官の評価基準を学習したAIが、回答内容に含まれる行動事実に基づいて候補者の実力を定量的に評価する。JCBは、学生が自身のタイミングで受検できる利便性と、バイアスのない客観的な評価が可能な点を評価し、採用を決定した。
導入の効果は顕著に現れている。現場社員による面接を廃止したことで創出されたリソースを、OBOG訪問や新しい採用プログラムの企画に充てられるようになった。学生側にとっても、企業や事業への理解を深める機会が増えるという恩恵がもたらされている。また、動画選考に対する学生の心理的ハードルを下げるため、YouTubeの公式チャンネルで対策動画を公開するなど、安心して臨める環境整備にも注力した。
ジェーシービー人事部採用・研修グループの水野氏は、AI導入後も「人となりをしっかりと見る」という方針は変わらないとした上で、AIによる客観的な評価と人による面接を適切に組み合わせる重要性を強調している。今後は、入社後の活躍状況と受検時の評価を照らし合わせ、活躍の根拠を定量的に示せるよう活用の幅を広げたい考えだ。
水野氏は、「時代の変化に合わせて、学生のためになるように我々も変化していくことを意識している。何が便利で何が不便だったのかという学生の声を引き続き集め、不便な点は速やかに解消していきたい」と述べている。同社は今後もテクノロジーを活用しながら、学生が本来の自分を出し切り、互いに成長できる選考プロセスの構築を目指す。