福島市は、市街地の魅力と回遊性の向上を目的に「AI人流・交通分析システム」を採用した。4月27日、システムの導入を支援した電気興業が発表した。「県内初の取り組み」として、中心市街地に設置したAIカメラで歩行者や車両の通行量を計測し、4月1日から専用ダッシュボードを通じて人流・交通データを公表している。取得したデータをオープンデータとして無償公開することで、行政の施策だけでなく、地域事業者の販促計画や新規出店などへの活用も促したい考えだ。
同市では、福島駅周辺を中心とした中心市街地の振興策の一環として、賑わいの状況を定期的かつ定量的に評価する方法を模索しており、年間を通して歩行者などの通行量を計測できる仕組みを検討していた。これに対して電気興業が、盛岡市や高知市の商店街などで実績のあるAI人流・交通分析システムを提案したという。年間を通じて人流や交通データを常時把握し、有用性の高い客観的なデータを取得できる仕組みとして評価し、採用に至った。
システムの構築にあたっては、電気興業がカメラシステムの検討と現地での設置工事を担当した。また、同社のグループ会社であるサイバーコアが画像解析AI技術とクラウド技術を提供し、AIモデルの開発を担った。グループ一体となった提供体制により、企画から運用までを一元的に対応したという。
稼働したシステムは、撮影された映像内の人物や車両をAI技術で解析する。人物については時間帯ごとの人数や男女・世代といった属性、往来の方向を分析できる。車両についても、時間帯ごとの台数や車種、進行方向の把握に対応している。なお、実際の運用ではプライバシーとセキュリティにも留意しているという。
福島市は4月1日から、同システムで計測、分析、統計処理した人流データを公開ダッシュボード上でオープンデータとして無償提供している。通行量が集中する時間帯や曜日ごとの傾向、性別や年代の属性、期間ごとの通行量推移などが可視化されており、誰でも閲覧できる。これにより、行政側が中心市街地の回遊性や滞留性を高める施策を立案し、その効果を検証することが容易になった。
さらに、地域事業者にとっても多くの恩恵が見込まれている。時間帯や属性別の来街傾向を踏まえた効果的な販促計画の立案、商品の展開、適正な人員配置などに役立てられるほか、新規出店を検討する事業者がターゲット層の多い場所を選定するための基礎データとしても活用できる。福島市は今後もダッシュボードを通じた地域全体でのデータ活用を促し、快適で魅力ある都市空間の創出につなげる方針だ。