堂島取引所は、大阪本社の移転に伴い、市況情報表示システムを新たに開発し、運用を開始した。システム開発では、チームシロッコのAI開発支援を採用した。5月25日、チームシロッコが発表した。AIを中心とした開発プロセスを導入し、人手による実装コードの記述を行わない形で構築している。
堂島取引所は、江戸中期の堂島米市場を起源とし、先物取引市場の開設や運営を担ってきた。今回の取り組みは、同取引所における新たな開発プロセスの導入に位置付けられる。一方で、開発したシステムは大阪本社の移転計画決定後に構想されたため、開発から運用開始までを限られた期間で完了する必要があった。
金融商品や市場情報を扱うシステムには専門性が求められ、障害対応やユーザー操作などに関する運用上の要件も多い。これらを個別に整理する負担を踏まえ、同取引所は短期間での開発対応に加え、金融業務に関する知識を有するパートナーを求めていた。
開発ベンダーに選定されたチームシロッコは、証券取引システムに携わった経験を持つエンジニアが設立した企業で、金融分野の業務システム開発および運用に関する知見を持つ。堂島取引所は、同社の業務理解と開発体制を踏まえ、開発支援先として採用した。
プロジェクトでは、AIをコード生成に限定せず、概要設計やデータ処理設計、実装、レビュー、改善といった一連の工程に組み込んだ。人は業務要件の整理や設計判断、AIへの指示設計、成果物の確認を担い、実装はAIを中心に進めた。これには、チームシロッコの知見に加え、同社子会社であるあってなR&Dの研究成果も活用されている。
この開発体制により、システムの基本機能の実装については約10営業日で目処を立てた。その後の期間は、ユーザーインターフェースの調整や機能追加、遠隔操作や自動メンテナンス、バックアップといった運用面の機能整備に充てた。
また、自社運用を前提とした設計とすることで、日常的なメンテナンス作業への対応や、運用変更への柔軟性を考慮した構成としている。
堂島取引所代表取締役社長の柴野弘憲氏は、「今回評価すべきは、期間とコストを抑えながら品質を維持し、完成後の運用やメンテナンスも踏まえた仕様とした点だ。過不足のないシステムを提供する手法の一つと捉えている」と述べている。