日鉄ソリューションズは、営業部門の業務効率化に向けた取り組みの一環として、AIを活用した見積作成の自動化を開始した。システム基盤として、Salesforceが提供するAIエージェントプラットフォーム「Agentforce」と、ウイングアーク1stのクラウド帳票サービス「SVF Cloud for Salesforce」を採用した。5月22日にウイングアーク1stが発表した。従来は1件あたり最大1時間を要していた見積作成工数を削減し、作成から送付までのリードタイムを短縮した。
日本製鉄グループの総合システムインテグレーターである日鉄ソリューションズは、2030年に向けたビジョンを掲げ、デジタル技術を活用した価値共創を推進している。同社では、営業担当者が事務作業に多くの時間を割いており、顧客への提案活動に十分な時間を確保できていないことが課題となっていた。
このため同社は2024年10月、営業部門の業務効率化を目的とした「ミドルオフィスプロジェクト」を開始し、中核テーマとして見積作成業務の自動化に着手した。従来の見積業務では、毎月500社を超える企業への対応に多くの工数を要していたほか、見積金額に応じた承認フローの滞留により、送付まで最短でも1~2営業日を要していた。また、ベンダーへの問い合わせが必要な製品があるなどプロセスが複雑で、業務の属人化も課題となっていた。
これらの課題に対応するため、AIによる自動化と帳票出力基盤のクラウド化を決定した。プラットフォームにAgentforceを選定した背景には、CRMとしてSalesforceを利用しており顧客情報が集約されていたことから、連携のしやすさがあった。また、自社での活用を通じてAIに関する知見を蓄積し、顧客提案に活用する狙いもある。
見積書の出力ツールとしてSVF Cloud for Salesforceを選定した理由は、Salesforceとの連携により開発工数を抑えられる点にある。GUIベースの操作により既存の帳票レイアウトを再現できることや、現場からの修正依頼に対して短期間で対応可能な点も評価した。
2025年2月から開発を進め、運用にあたってはガバナンスと正確性を確保する仕組みの整備も行った。誤った金額での見積書発行を防ぐため、自動発行の対象を特定の管理者が決裁可能な金額範囲に制限し、事前決裁ルールを適用した。また、帳票生成前の段階で処理内容をシステム上で確認できる仕組みも構築した。
2025年8月から一部の顧客を対象に運用を開始した。新システムでは、顧客が専用ポータルサイトのAIチャットから必要な製品を選択すると、Agentforceを通じてSalesforce内に要望が登録され、SVF Cloud for Salesforceによって見積書などの帳票が自動作成される。顧客はその場で見積書をダウンロードできる。
導入により、見積作成業務の負担が軽減され、営業担当者や承認者が他の業務に時間を充てやすくなった。また、顧客の操作によって手続きが完結するため、リードタイムの短縮にもつながっている。
今後は、取り扱い製品の拡大やグループ企業への展開、サブスクリプション契約の更新見積の自動化も検討している。今回の取り組みで得られた知見を顧客提案に活用し、業務効率化や新たなビジネス創出につなげる考えだ。