エリクソン、統合データ基盤でAI全社展開

2026年5月27日09:00|ニュースCaseHUB.News編集部
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 エリクソンは、SAPの「SAP Business Data Cloud」を中核とした統合データ基盤を構築し、AI活用を実証段階から全社運用へと移行した。5月21日、SAPのイベント「SAP Sapphire 2026」で発表した。統制されたデータ基盤とAIアシスタント「Joule」を組み合わせ、意思決定の迅速化と業務成果の可視化を進めている。

 エリクソンは創業150年を迎える通信インフラ企業であり、180カ国にネットワークを提供し、世界のモバイルトラフィックの約40%を支えている。AIを技術戦略および事業運営の中核に据える一方で、グローバル展開における課題はアルゴリズムではなく、データの整合性と信頼性であった。売上や市場情報、アクセス権限などの定義が部門ごとに異なる状況では、AIの出力に一貫性を持たせることが難しいためである。

 このため同社は、ビジネスデータの意味や定義を全社で統一することを重視し、データファブリックの構築を進めた。採用したのは、データを各システムに保持したまま統合的に管理するフェデレーション型アーキテクチャである。データの重複を抑えつつ、ガバナンスやライフサイクル管理を中央で制御することで、SAP製品に限らず外部システムも含めた一貫したデータ活用を可能にした。

 組織面でも、個別システム単位ではなくエンド・ツー・エンドの業務プロセス単位で体制を再編した。影響度の高いユースケースに優先的に取り組み、経営層の関与とガバナンス体制を整備したことで、パイロットから本格運用への移行を進めた。現在は約8万5000人の従業員がJouleを通じてデータとAIを活用している。

 さらに、クラウドERP移行ソリューション「RISE with SAP」や「SAP BTP」による拡張を組み合わせ、基幹システムを維持しながら機能追加を行う「クリーンコア」方針を採用している。これにより、ERPの安定性を損なわずに新たな機能やサービスを段階的に導入できる構成としている。

 人事領域では「SAP SuccessFactors」と連携し、従業員の役割やスキルに応じた目標設定を支援する機能も開発した。AIが推奨する目標をもとに管理プロセスを補助することで、運用負荷の軽減につなげている。

 エリクソンのEsra Kocatürk Norell氏は、「AIの展開において本質的な課題はデータである。データの定義を統一することで、信頼性と再現性のある形でAIを活用できる」と述べている。

 今後は、この基盤を活用し、意思決定の自動化や新たなデジタルサービスの開発を進める。通信事業における顧客体験の向上を含め、データとAIを組み合わせた運用の高度化を継続する。

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