三井化学は、長期経営計画の目標達成に向けて次世代基幹システム「SAP S/4HANA」を核とする新データ基盤を構築し、本格稼働させた。7月16日に三井化学が発表した。一元管理されたデータとAIを組み合わせることで、業務効率化や在庫削減を進め、迅速な経営判断につなげる。
三井化学は、長期経営計画「VISION 2030」においてROIC(投下資本利益率)9%以上を掲げ、基本戦略としてデジタルによる企業変革を推進している。計画に沿い、2026年4月にSAP S/4HANAを中心とした新データ基盤を稼働。周辺システムとして、計画策定や分析を行う「Anaplan」、原価計算プラットフォーム「Fujitsu Actual Costs Solutions」、BIツール「Tableau」を統合している。
新データ基盤の導入により、全社レベルの複数パターンの損益シミュレーションや多様なデータ分析を自動化した。データ加工や報告などの業務工数は約50%削減できる見通しだ。削減した時間や人員を販売拡大やコスト削減に振り分け、業績拡大を図る。また、SAP S/4HANAの開発にあたっては追加プログラム(アドオン)を最小化する設計を徹底しており、将来的な新技術の取り込みを容易にするとともに、更新や保守のコストを50%以上削減できると予測している。
運転資金の効率化においては、市場動向や販売データをBIツール上で統合し、AIを用いた需要予測を行っている。先行導入したモデル事業では、販売予測の精度向上により数十億円規模の在庫を圧縮した。今後は一連のデータ活用体制を全社に展開し、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)のさらなる改善を進める。
さらに、製品別のROICの可視化や投資判断情報の充実により、事業ポートフォリオの最適化を進める。BIツールによる経営データの一元管理とAIの連携を通じて、分析から自動でのアクション提示にまで発展させる考え。意思決定の迅速化と事業価値の向上を目指す。
今回のシステム構築にあたっては、システム開発ベンダーとしてデロイト トーマツとTISIの支援を受けている。
三井化学常務執行役員CDOの三瓶雅夫氏は、「真のグローバルスペシャリティカンパニーを目指し、ポートフォリオの変革を加速する。この変革を支える基盤として新データ基盤を本格稼働した。当該インフラの活用により付加価値の創出と投下資本の削減を推進し、デジタルによる企業変革と企業価値向上にマイ進していく」とコメントしている。