東急電鉄とパナソニック コネクトグループは9月16日、AI画像解析技術を活用した「乗務員支援ホーム監視AIシステム」を、東横線の渋谷駅を除く全駅に順次導入すると発表した。2026年9月17日から導入を開始し、ワンマン運転を行う運転士のドア閉扉判断時における確認業務を支援する。
東急電鉄では、列車運行の効率化と安全性向上を目指し、各路線でワンマン運転の拡大やホームドアの設置といった安全対策を進めてきた。東横線でもワンマン運転を実施しているが、駅ホームにおける乗客の乗降確認やドアの開閉判断は運転士が車内のモニターを通じて目視で行っており、ラッシュ時や混雑時の確認作業には高い集中力と慎重な判断が求められていた。駅ホームでの接触事故や駆け込み乗車などを防止しつつ、安全で円滑な運行体制を維持するための乗務員支援が課題となっていた。
こうした背景から同社は、先端のデジタル技術を活用して運転業務を高度化する取り組みに着手した。パナソニック コネクトグループが持つAI画像解析技術に着目し、乗降監視カメラの映像から乗客の動向を正確に検知して運転士の判断をサポートする仕組みの構築を目指した。本格採用に先立ち、2024年2月1日から3月31日までの2カ月間にわたり、東横線の都立大学駅と多摩川駅で実証実験を実施。実際の営業運行環境で検知精度や表示の視認性、運転士の操作感などを検証し、システムの改良を重ねてきた。
新システムは、ホーム上の乗降監視用カメラ映像をAI画像解析し、運転士が確認する運転台モニターに補助情報を表示する。電車を乗降する利用者を検出すると赤色の丸を表示するほか、白杖、ベビーカー、車いすを利用する利用者を検知した場合には緑色の枠を表示する。駅係員によるバリアフリー合図を検出した際には、「手合図検知」の文字を表示する。これにより、運転士のドア閉扉判断時の確認業務を支援する。
運転士はモニターに重畳される直感的な視覚情報を通じてホーム上の状況を迅速に把握できるようになり、ドア閉扉時の安全確認業務を効率化できる。特に視覚障がい者や車いす利用者などのサポートが必要な乗客の見落としを防ぎ、ワンマン運転時における乗務員の心理的負担の軽減と運行の安全性向上を両立させる。
東急電鉄は9月17日の綱島駅を皮切りに、代官山駅から横浜駅までの東横線20駅(渋谷駅を除く)へ順次システムを展開する。今後もテクノロジーを活用した現場オペレーションの変革を推進し、安全で安心な事業基盤の強靭化を図る方針だ。