イオンリテール、AIで食品ロス削減を強化、値引き販売システム「AIカカク」を全生鮮部門に拡大

2024年9月9日08:40|ニュースリリース公開日 2024年5月7日|ニュースCaseHUB.News編集部
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 イオンリテールは、食品ロス削減を強化するため、AIを活用した値引き販売システム「AIカカク」の適用範囲を拡大する。5月7日、日本IBMが発表した。同システムは過去の販売データに基づきAIが適切な値引き率を提示するもの。既に導入している惣菜部門と日配品の一部に加え、5月8日から畜産部門に、5月22日から水産部門にも拡大し、全生鮮部門で運用する。

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AIカカク利用シーン

 イオンは「2021~2025年度中期経営計画」で「デジタルシフトの加速と進化」を掲げている。データ、AI、経験に基づく迅速な意思決定により、店舗とデジタルを融合した顧客体験やデータ連携による新たな収益モデルの創造、データ、AIを活用した既存オペレーションの刷新を目指している。イオンリテールは「お客さま第一」のもと、デジタル技術との融合によって、店舗では対話を通じた楽しさや発見のある買物体験の提供と利便性の追求に取り組んでいる。AIカカクと、同じく日本IBMと開発した需要予測、発注システム「AIオーダー」は、こうした小売店舗のDXを実現するものと位置付けている。

 AIカカクは2021年5月から店内調理の惣菜で運用を開始した。その後、日配品(数日期限)にも拡大し、生鮮部門への拡大によって対象は約1,200品目、約380店舗に導入される。販売実績や天候、客数などの環境条件をAIが学習し、売場の商品のバーコードを読み取り陳列数を入力するだけのシンプルなシステム設計と画面設計になっている。入力後はAIが提示した適切な割引率で携行のシール発行機から自動印刷され、該当商品にシールを添付して作業完了と、経験に関わらず作業を進めることができる。

 AIカカク導入後、データに裏付けされた売り切り価格で販売することで、導入前と比べ、ロス率が1割以上低減しているほか、値引きや売り切り業務に関わる店舗スタッフの教育時間も低減している。今回の適用範囲の拡大にあたり、イオンリテールは日本IBMのデータ・サイエンティストとともに、部門ごとの販売特性や値引きによる売れ方の変化などを細やかに分析し、店舗特性も考慮したうえで、予測と売価最適化モデルにさまざまなチューニングを実施した。

 AIオーダーは、2023年に日配品約1,000品目を対象に、関東、北陸信越、東海、近畿、中四国の約380店舗に導入された。正確な発注数を自動で提示し発注時間を平均で5割削減するとともに、AIによる客数予測や過去の販売実績とあわせて、曜日、価格、気温、プロモーションなどを機械学習させることで、既存システムと比べ予測精度が最大40%改善した。気温の変化等による突発的な品切れ削減と過剰発注を防ぐことで平均3割の在庫削減にもつながっている。日本IBMは、値引き、廃棄リスクと、販売機会ロスを考慮し利益を最大化する適正発注を行えるように設計した。具体的には、特売や販促を考慮した変動するPI値を予測し、適切な発注数を算出する。

 AIオーダー導入により、発注にかかる時間が半減され、入荷整理や品出し、在庫管理、値引き、発注修正など店舗商品管理における業務負荷が減り、大きな生産性向上につながるなどの成果が確認できたため、今回、適用範囲をさらに拡大する。

 イオンリテールは今後、店舗にとどまらず生産や流通といったサプライチェーン全体の課題解決にAIを適用していく。

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