ユーザベース、AIエージェント対応の基盤構築 既存APIのMCP対応を自動化し開発効率向上

2025年12月18日17:24|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ユーザベースは、経済情報プラットフォームなどの複数のB2Bデータサービスにおいて、AIエージェント対応の迅速な実現を支援する基盤として、Kongの「Kong AI Gateway」を採用した。12月18日、Kongが発表した。AIエージェントが既存のAPIを安全かつ自動的に活用できる環境を構築することで、開発者の負担を軽減し、AIを活用した意思決定支援のさらなる拡大を目指す。

 ユーザベースは、企業・業界情報データベース「Speeda」をはじめ、営業DXソリューションやスタートアップ情報プラットフォームなど、幅広いB2B情報サービスを展開している。生成AIの普及に伴い、ユーザー企業からは自社の業務アプリケーションやAIエージェントを通じて、Speedaのデータベースへ直接アクセスしたいとの要望が増加していた。こうしたニーズに応えるため、同社は「Speeda AI Agent」プロジェクトを始動。AIエージェントと外部データソースを接続するための標準プロトコルである「MCP(Model Context Protocol)」を活用し、安全でスケーラブルな連携基盤の整備を進めることとなった。

 従来、同社のスピーダ事業では各APIとAIエージェントを直接接続して開発を進めていた。しかし、接続ニーズの急拡大により、50を超えるAPIに対して個別のMCPサーバーやエンドポイント定義を用意・運用する必要が生じた。APIごとにサーバーを構築・保守する手法は、人員リソースやコストの面で非効率であり、開発者が本来注力すべきUX設計や機能強化にリソースを割けなくなる課題に直面していた。そのため、MCP対応を標準化し、開発負荷を効率的にオフロードできる仕組みの構築が急務となっていた。

 Kong AI Gatewayの選定にあたり、既存のAPI群をほぼノーコードでMCP対応できる点が高く評価された。プラグインの設定のみで既存APIを「MCPツール」として迅速に公開できるため、開発と運用の双方で大幅な効率化が見込めると判断した。また、定義ファイルベースでの一元管理が可能な点や、将来的な仕様変更への柔軟性、既存のOSS版Kong Gatewayでの運用経験を活かせる点も採用の決め手となった。他社製品との比較検討も行ったが、APIごとに個別の構築が必要な製品が多く、スケーラビリティや継続運用の観点で同製品が最も優れていると判断した。

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Kong AI Gatewayを用いたMCPサーバーの構成イメージ

 新基盤の導入により、従来は開発者が手動で行っていたMCPサーバーの構築・管理を自動化できるようになった。これにより開発チームの非機能的な作業が削減され、サービスの本質的な価値向上に注力できる環境が整った。今後は、外部企業のAIエージェントとも安全にデータをやり取りできる環境を拡充し、企業ユーザーが自社エージェントを通じて必要な情報へシームレスにアクセスできる体制を強化する。また、利用規模や市場環境に応じた柔軟な料金体系の整備も進めていく方針だ。

 ユーザベースSpeeda事業執行役員CTOの林尚之氏は、AIエージェント対応を進める上でMCP対応の基盤整備は避けて通れないテーマだったとした上で、Kong AI Gatewayの導入により対応を効率的にオフロードでき、開発チームが本来注力すべき機能開発やUX改善に集中できる環境を実現したと語る。今後はAIエージェントを通じて、より多くの企業に信頼できる情報アクセスを届けていきたいとしている。

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