近鉄百貨店は、テナント管理の効率化と交渉の円滑化を目的に、SansanのAI契約データベース「Contract One」を導入した。7月16日、Sansanが発表した。契約書をデータ化して営業担当者が即座に情報を参照できる体制を整え、テナント誘致や売場戦略の質向上につなげる。将来的には契約情報を全社的な戦略資産として活用し、店舗の提案力や交渉力を強化していきたい考えだ。
近鉄百貨店は、地域の顧客ニーズに応じた店舗構造改革を進める中で、テナント型売場の導入を強化している。それに伴い、新規テナントの誘致や既存テナントとの契約更新交渉が頻繁に発生するため、営業担当者を含めた関係者が、契約情報を正確かつリアルタイムで把握できる環境の整備が課題となっていた。
従来、契約書は紙媒体で管理部門が保管していたため、営業現場の担当者が必要な時に迅速に情報を参照することが難しかった。また、テナント数の増加に伴い、従来の管理方法では対応が追いつかなくなる懸念もあった。そこで、契約情報をデータ化し、営業部門と契約管理部門が共通の基盤で情報を共有・連携できる体制を構築するため、Contract Oneの導入を決めた。
Contract Oneの導入により、紙の契約書がデータ化され、クラウド上で一元管理される。営業担当者は自身の業務用端末からいつでも契約情報にアクセスできるようになり、日常業務の中でスムーズな確認や活用が可能になる。また、契約更新期限などを通知するアラート機能により、余裕を持った交渉準備を進められるようになるという。データベース上で複数の契約書の条件を横断的に比較・参照することも可能となり、より最適な意思決定を支援する。
テナント型売場の運営で重要となる、各テナントの賃料条件などをまとめた一覧表「レントロール」の管理工数削減も見込む。従来は担当者が契約書を一枚ずつ目視で確認し、情報を転記する必要があった。Contract Oneが持つ拡張項目のAI自動入力機能を活用することで、契約書から必要な情報が自動抽出され、レントロールの作成・管理作業が大幅に効率化されるとともに、確認ミスや対応漏れを防ぐ。
近鉄百貨店 営業政策統括部 商品政策部(リーシング担当)部長の松江良晃氏は、「今回の導入を機に、契約情報を"管理するもの"から"戦略に活かす資産"として捉える意識を広めたい。担当者が必要な情報を自身で確認できるようになることで、社内の情報確認のやり取りが減り、テナント誘致や売場改善といった前向きな議論に時間を使えるようになる。今後はさらに多くの社員がContract Oneを活用し、店舗ごとの提案力や交渉力の強化につなげていけるよう、現場の声を聞きながら継続的に運用体制を整えていきたい」と話している。
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