ベルーナ、自律型AI「Devin」でシステム開発工数を3割削減 保守の属人化解消へ

2025年12月18日17:21|ニュースCaseHUB.News編集部
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 ベルーナは、生成AIを活用したシステム開発の効率化と品質向上を目的に、自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin」を採用した。12月18日、導入を支援したULSコンサルティングが発表した。先行して実施したトライアル運用では、システム調査や設計書作成などの作業時間を約3割削減する成果が得られた。今後はAIと人が協調する開発スタイルを全社に拡大し、保守体制の強化とビジネススピードへの対応力を高める方針だ。

 ベルーナは、アパレルや食品など幅広い商材を扱う通信販売事業を中核に、不動産やホテル、飲食店などへ事業を多角化している。デジタル活用にも積極的に取り組んできたが、長年の改修によって基幹システムの内部構造が複雑化し、技術的負債や保守の属人化が課題となっていた。また、事業拡大に伴いシステム数が増加し続ける一方で、COBOLなどの専門知識を持つ技術者の確保が困難になっており、限られた人員でいかに開発体制を維持するかが急務となっていた。

 こうした背景から、同社はAI駆動開発による業務効率化を検討。システム開発・保守における知見と、Devinに関する実績を持つULSコンサルティングの支援を受け、導入プロジェクトを開始した。採用にあたっては、自然言語での指示を理解し、設計からテストまでを自律的に実行できるDevinの能力に加え、既存システムの解析やドキュメント作成といった保守局面での活用可能性を評価した。

 2025年10月から開始したトライアル運用では、特定の業務システムを対象に、システム改修の影響範囲特定やリファクタリング、性能改善などにDevinを活用した。その結果、調査や設計書作成の工数を29%削減することに成功。作業時間の短縮だけでなく、品質の平準化や属人性の排除といった定量化しにくい側面でも効果を確認できている。

 ベルーナ情報システム本部IT企画室室長の関口博之氏は、同社のシステムは事業拡大を支えてきた一方で、技術的負債が顕在化していたと指摘する。今回、自社のシステム構造や開発プロセスを理解した上での最適な活用方法の指南を受けたことで、工数削減という大きな一歩を踏み出せたと確信している。今後はこの成功体験を全社に広げ、AIと人が協調する新しい開発スタイルを確立していく考えだ。

ニュースリリース