千代田区立九段中等教育学校が校内生成AIツール「otomotto」を生徒の学びの支援を目的に導入した。2月21日、アルサーガパートナーズが発表した。
九段中等教育学校は文部科学省のリーディングDXスクールに指定されており、生成AIパイロット校として先進的な教育DXを推進している。同校では、生徒が最新の技術をツールとして最大限に利用し、効果的な学びの追求に役立てるために生成AIの活用に着目した。
アルサーガパートナーズは、千代田区が実施する生成AI関連業務の公募型プロポーザルで選定されたことを契機に、他校に先駆け生成AIを活用した授業の導入を目指し、教員と生徒を対象とした校内生成AIのSaaS版ツールによるPoC(概念実証)を実施した。その成功を踏まえ、独自の校内生成AIツールotomottoの開発に至った。
otomottoは、OpenAIの「GPT-4o」だけでなく、Anthropicが提供する「Claude 3 Opus」や、Googleの「Gemini Pro」といった複数の大規模言語モデルから適切なものを選択でき、多様なニーズに対応する。チャット機能に加え、画像生成も行える。生徒や教員が独自のプロンプトを作成・共有できる機能も搭載され、生徒同士の創造的な会話を活発化し、学びの新しい形を実現する。生徒が使用する際に教育目的を逸脱しないよう、独自のフィルタリング機能も搭載した。また、科目ごとに保存された教科書データをもとに、AIと対話しながら出力でき、「日本史のこの時代についてテスト問題を出して」といった具体的なリクエストにも対応可能だ。
同校は中学生から高校生までの生徒が在籍しており、特に中学生でも直感的に操作できる優しいUI/UXを実現している。エラーメッセージや通知文言も工夫し、迷わず利用できる環境を提供している。サービス名とアイコンは生徒たちが提案した案を採用し、生徒自身がプロジェクトに参加する喜びを感じられる仕組みも取り入れた。
九段中等教育学校は、otomottoについて、単に答えを出すだけではなく、さまざまな問題について多角的な視野を持って思考し、解決に挑み、新たな価値を創造するための、対話的で深い学びに取り組んでいく中で、一人のサポートティーチャーのように支援し、学びの「おとも」として活躍していると評価している。