宮崎県は、庁内専用のプライベート生成AI基盤として、日本ヒューレット・パッカード(HPE)の「HPE ProLiant」サーバーによるオンプレミス環境を構築し、行政業務への活用を開始した。4月23日、HPEが発表した。自治体業務で扱う機密性の高い情報を保護しながら、給与や会計事務などの効率化を図る。
宮崎県は「みやざきDXプラン(2024-2027年)」を策定し、デジタル技術による行政運営の高度化を推進している。自治体では極めて機密性の高い情報を日常的に扱うため、生成AIの活用においても外部へのデータ流出を防ぐ厳格な情報管理が不可欠だった。そこで同県は、安全性を最優先に確保した庁内完結型のオンプレミス環境の導入を決めた。
システム基盤には、NVIDIAの高性能アクセラレータを搭載した「HPE ProLiant DL385 Gen11」を採用。ソフトウェアにはSparticleが提供するプライベート版「GBase」を活用し、ローカルLLM環境を構築した。RAG(検索拡張生成)とエージェントの仕組みにより、AIが勝手に学習することなく、業務マニュアルなどの行政情報に基づいた回答を職員に提供する。システムの保守・管理は南日本ネットワークが担当する。
新システムの導入により、書類点数が多く判断が難しい申請内容のチェック業務などで、担当者の専門的な判断を下支えし、対応の迅速化と負荷軽減を実現している。また、個人を特定できる情報はAIの処理対象から除外するなど、情報セキュリティを堅持した運用を行っている。
今後は、医薬品の使用に関する問い合わせを支援する「AI薬剤師」や、災害対策本部での対応を自動化する「災害対応AIチャットボット」などへの拡張を予定している。宮崎県総合政策部デジタル推進課主幹の中西博仁氏は、本システムは柔軟な構成により将来の技術進化にも対応できる基盤であるとした上で、行政サービスのさらなる向上につなげる。