日本航空は、社内業務の効率化と顧客サービスの質向上を目的に「JAL-AI」を導入した。JAL-AIの開発を支援したアバナードが5月26日に発表した。
日本航空では、2021~2025年度の中期経営計画においてAIやデータを活用したDX戦略の推進を経営方針の一つに掲げている。安全・安心な移動の提供や新たな顧客体験価値の創出を目指し、業務変革に取り組む中で、生成AIの活用に着目した。2023年4月にはリスク評価や活用方針を検討するワーキンググループを立ち上げ、外部パートナーとともにプロジェクトを進めてきたが、検索拡張生成(RAG)の精度向上に課題が生じ、プロジェクトの見直しを決断した。
新たなパートナーとして選定されたアバナードは、生成AI導入や利活用の実績を評価され、2024年1月からプロジェクトを再始動した。アバナードは「社内ナレッジの検索・活用」「他システムとのAPI連携」「議事録自動生成」「整備部門向けマニュアル等の文書検索・活用」といったテーマで支援を実施した。成果として、独自生成AIツール「JAL-AI」を開発した。JAL-AIは、オフィスワークの社員だけでなく、タブレットを主に利用する現場スタッフを含むグループ全従業員が利用できるよう設計されている。
導入プロセスでは、議事録作成やドライブ内ファイルの高度検索機能など、現場のニーズに応じた機能アップデートを随時実施する。AIの回答精度向上に向けては、社内の多様なドキュメントを取り込み、課題を見極めながら複数のRAGを導入し、評価と改善のPDCAサイクルを回すことで精度を高めた。その結果、2024年度には間接部門のほぼ全ての社員がJAL-AIを利用するまでに普及した。
さらにJALは、JAL-AIを基盤とした空港業務特化型「空港JAL-AI」も新たにリリースした。空港JAL-AIは、グランドスタッフがiPadでお客さまからの問い合わせに迅速に対応できるよう支援するツールだ。実証実験のアンケートでは、「危険物検索」や「イレギュラーアナウンス文章生成」でグランドスタッフの90%以上が「お客さまへの回答速度が向上した」「アナウンス文章の作成速度が向上した」と評価。「ラウンジ入場条件検索」でもラウンジスタッフの70%以上が回答速度の向上を実感している。
今後JALは、一つのインターフェース・マルチデバイスで「さまざまな業務に使えるAI」の実現を目指し、アバナードはAPIを介した業務システム連携や社内ポータル情報のクローリング支援など、全社的なナレッジ活用基盤の拡充をサポートしていく。
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