ユーザベースは、全社的な業務効率化を目的にコラボレーションソフトウェア「Notion」とAIアシスタント「Notion AI」を全社で採用した。8月8日、Notionを提供するNotion Labs Japanが発表した。Notion AIの活用により、社員の7割が情報検索の高速化を実感するなど、1000人規模の組織における生産性向上につながっている。今後もAI活用などを進め、さらなるコミュニケーションと協働を促進する方針だ。
ユーザベースは、経済情報プラットフォーム「スピーダ」やソーシャル経済メディア「NewsPicks」などを展開している。同社では企業規模の拡大に伴い社内ドキュメントが膨大になり、複数のツールに情報が分散することで情報のサイロ化や検索性の低下が課題となっていた。これは、従業員間の文脈共有のために積極的な情報公開を是とする同社の情報ポリシーの障壁にもなっていたという。こうした課題を解決し、事業の成長を支える情報基盤を再構築するため、2023年1月にNotionを、2024年1月にはNotion AIを全社で導入した。
導入の推進にあたっては、稲垣裕介CEOをはじめとする経営層が率先してNotionを活用した。稲垣氏は全社会議の資料作成や経営会議の議事録共有、週1回のCEOメッセージの配信などにNotionを使用している。経営層自らが情報発信ツールとして活用することで、従業員も自然とNotionにアクセスする文化が醸成され、利用率は90%後半を維持している。
この取り組みは、複数の効果をもたらした。まず、経営層の判断や方針が全社に即時共有されることで、各部門の迅速な意思決定と行動が可能になった。次に、過去の経緯や判断理由がNotionに蓄積されることで、新たに参加した社員でも速やかに状況を把握できるようになった。さらに、部門を超えた情報共有が円滑になり、他部門への理解が深まることで組織の一体感が醸成され、協力体制が強化されている。
Notion AIの導入は、全社的な業務効率化をさらに加速させている。特にQ&A機能による自然言語での検索や、GoogleドライブやSlack上の情報を横断検索できるコネクター機能により、情報検索の効率が大幅に向上した。社内アンケートでは、社員の7割が情報検索のスピードアップを実感していると回答している。また、特定の業務においても大きな成果が出ており、営業サポート部門では、Notion AIの画像文字起こし機能を活用することで、従来1件あたり平均45分を要していた営業先企業の組織図作成を約10分に短縮。約78%の工数削減を達成した。ユーザーサポート部門でも、問い合わせ内容をNotion AIで要約し、内容確認の時間を短縮している。
ユーザベースのIT Strategy DivisionでDivision Leaderを務める玉井修司氏は、「情報の透明性の強化は、意思決定の迅速化、コンテキストの共有、組織の一体感醸成に役立っている。元々、情報共有を重要視する文化をもつ企業だったが、Notionにより、さらに活発なコミュニケーションと協働が促進されていると感じる。今後も、AIのさらなる活用や外部情報発信による利用推進、業務プロセスの確立などに取り組んでいきたい」とコメントしている。