エーザイは、エクサウィザーズのAI対話型ロールプレイングサービス「エクサベース ロープレ(旧:exaBase ロープレ)」を導入した。9月15日、エクサウィザーズが発表した。2026年4月から新人MR(医薬情報担当者)約20名を対象とした研修で活用を始めており、AIによる客観的な評価と即時フィードバックを通じて、営業スキルの向上や育成の高度化につなげている。
エーザイは、患者とその家族を第一義に考える企業理念のもと、医療関係者の多様なニーズに応える人材育成に取り組んでいる。MRには対話を通じて相手の潜在的な課題を引き出す質問力や提案力が求められる。一方で、新人MR一人ひとりに対して講師が個別にフィードバックを行う指導体制には工数の面で限界があり、評価基準の統一や受講者ごとの弱点の可視化が難しかった。
こうした育成現場の課題を解消するため、AIを相手に実践的な訓練と客観的な評価ができるエクサベース ロープレの採用を決めた。企業ごとの研修目的に合わせたシナリオを独自に設定できる点や、実際の業務で対話する医療関係者を想定したAIアバターと自由に対話できる点、さらにAIが同一基準で100点満点の評価と即時フィードバックを行える点を評価した。
2026年4月の新人研修では、2種類のシナリオを用いてロールプレイングを実施した。1回目は自社製品の知識に依存せず、質問によって顧客の潜在ニーズを引き出す基礎的な営業力を養う汎用シナリオを用い、2回目は自社製品を題材とした実践的なシナリオを活用した。アバターの設定はエクサウィザーズと相談しながら作成し、研修の進行や運用はエーザイ主導で進めた。AIアバターとの対話内容はテキストと動画で記録されるため、管理者による研修状況の把握や受講者自身の振り返りにも役立てられている。
新サービスの活用により、指導効果の定量的な把握と研修の効率化が進んだ。研修では質問力(SPIN話法)の観点を評価項目に組み込み、講義前後のロールプレイングの点数を比較したところ、相手自身が気づいていない潜在ニーズを顕在化させるために重要な「示唆質問」と「解決質問」のスコアがともに向上した。特に示唆質問で大きな改善が見られ、育成効果を定量的に確認できた。また、AIが同一基準で即時にフィードバックすることで、講師の負担軽減と学習効果の向上を図る。受講者が自分の都合に合わせて取り組みやすい環境も整えた。
エーザイ グローバルHRマネジメント部の古森雄一朗氏は、「新人MRの育成では、一人ひとりが実践を重ね、自らの課題に気づきながら成長できる環境づくりが重要だと考えている。現場で多くの経験を積むには時間がかかるが、エクサベース ロープレを活用することでさまざまな場面を疑似体験しながら実践を重ね、AIによる同一基準での即時フィードバックにより質問スキルの成長を定量的に捉えて評価できるようになった。今回得られた成果や知見を、今後のMR育成のさらなる高度化につなげていきたい」と述べている。
今回の取り組みは、エーザイのDX人材育成の中で生まれた社員発のアイデアを起点としたもので、全社的なDX推進の一環に位置づけられている。今後は新人研修での活用を起点に、シナリオの拡充や対象層の拡大を視野に入れながら効果検証を継続していく。