福井県は、PKSHA Infinityの議事録AI「YOMEL」を、約5400人の全職員が使える環境にして、全庁で展開した。導入から2カ月間の総利用時間は約1040時間で、議事録の作成にかかる時間を、約434時間減らしたと推計する。10月23日、PKSHA Infinityが事例を公開した。
福井県では、庁内会議に加えて、市町や事業者との打ち合わせ、オンライン会議が増えていた。議事録の作成方法の一つとして、ICレコーダーなどで録音した音声を、Wordのトランスクリプト機能で文字起こしし、そのテキストをCopilotに要約させていた。Copilotの導入前には、音声を聞きながら手作業で文字起こしする方法も取っていた。手順が多く、職員の負担が大きい点と、職員ごとにプロンプトに差があり、議事録の精度が安定しない点が、課題だった。外部への公開が義務づけられた会議もあり、その場合は、必ず議事録を作る必要がある。
庁内で事務作業の効率化を進める動きがあり、職員から「議事録作成は手間がかかるので、もっと簡単にできないか」という声が上がった。DX推進課が、全庁で使えるツールを探し、インターネットで3〜4つのサービスを比べた。会議の音声を、ファイルとして保存し、アップロードするタイプは、その手間で使われなくなると考え、会議が始まったらすぐに録音でき、アップロードが不要な点を重視した。トライアルには、さまざまな部署の約20人が参加し、事後のアンケートでは、多くの参加者が「すごく便利だった」と答えた。会議中に録音ボタンを押すだけで、会議後10分ほどで、ブラウザ上で議事録を確認でき、1〜2時間の会議でも、すぐにできあがる。
決め手は、職員の負荷を下げ、簡単に使える点だ。急な会議でも、事前登録なしで録音でき、機能の細かな比較よりも、日々の業務でストレスなく使える使い勝手を重視した。導入の当初から、全職員約5400人での利用を想定しており、ID数が無制限で、料金が変わらないプランも魅力だった。時間削減の効果を人件費に換算して、コストメリットを説明し、稟議もスムーズに進んだ。県は利用要領を定め、「要配慮の個人情報は入れない」「機密性の高い会議では使用しない」といったルールを設けた。導入前に、簡単なマニュアルを全職員に配り、使い方の問い合わせは、ほとんどなかった。
導入から2カ月間の総利用時間は約1040時間で、これまでの生成AIを使った方法と比べて、議事録作成にかかる業務時間を、合計で約434時間減らしたと推計する。DX推進課の岡本氏は、会議中にメモを取る必要がなくなり、議論そのものに集中できるようになったと話す。議事録は、URLを共有するだけで確認でき、関係部署への共有も早くなった。部署ごとの利用状況を、月単位で確認でき、管理する側も、活用の広がりを把握しやすい。
まだ導入から日が浅く、活用しきれていない部署もある。今後は、正式な議事録の作成だけでなく、ちょっとした打ち合わせの備忘録代わりに、気軽に使えることを周知し、利用率を高める考えだ。