第一生命保険と第一生命情報システム(以下、第一生命)は、基盤構築作業の自動化を目的に、レッドハットのエンタープライズ向けIT自動化ソリューション「Red Hat Ansible Automation Platform」を採用した。2023年10月11日、レッドハットが発表した。第一生命は2021年のプロジェクト開始以降、累計数100台のサーバー構築の自動化を実現し、作業の自動化、効率化とシステムの安定稼働を進めている。
第一生命では、サーバーの仮想化やハイパーコンバージドインフラの活用など、サーバー環境の効率化に取り組んできた。しかし、システムの更改対応に伴うサーバー構築台数が増加するなか、基盤構築作業を短納期化し、かつ品質は保ちつつ安定稼働を維持する必要があった。ビジネスのスピードに合わせ要件も高まる一方でリソースは限られており、従来の運用ではいずれ限界が訪れると予想していた。
こうした課題に応えるツールとして、Ansible Automation Platformを選択した。多くのサーバー・システムが稼働しているなかで、展開のしやすさや、将来にわたる拡張性の観点でAnsible Automation Platformの機能が有効と判断された。特に、Ansible PlaybookがYAMLで記述できることや対象とする機器にエージェントレスで利用できること、国内外での豊富な実績が評価され採用の決め手となった。
第一生命はAnsible Automation Platformを活用してゲストサーバーの基本構築を自動化し、OSだけでなく、ミドルウェアや監視、アクセス管理などの標準的なソフトウェア一式をインストールして利用者に提供している。これにより構築作業に求められる手作業が大幅に削減され、申請から調達までの所要時間が従来比で約80%短縮された。
別途予算計上が必要なため実現できなかった急なシステム構築のリクエストなどにも、柔軟に対応できるようになった。サーバー運用でも、これまでマニュアルで実施していたパッチ適用作業が自動化でき、作業負荷の大幅削減を実現した。さらに、リリースまでの何重ものチェックは不要となり、人手を介さずミスも回避できるうえ、これまで要していた作業時間を半減させつつ品質の担保が可能となった。Ansible Automation Platformの採用は、同社のこれまでの働き方に変革をもたらし、現場から高い評価を受けている。
第一生命では、現在も継続的にAnsible Automation Platformの活用範囲を拡大している。サーバー自動構築の横展開と合わせ、さらなる運用の改善に向けたAnsible Automation Platformの適用を検討し、実施する。また、自動化の構築対象をクラウド環境のサーバーにも拡げる計画だ。第一生命は将来的に、インフラ全体をコード化して管理する、IaC (Infrastructure as Code)の実現を目指す。
第一生命保険 ITビジネスプロセス企画部 フェローの吉留栄太氏は、「Red Hat Ansible Automation Platformの活用を通じて、自動化/管理ツールを使いこなすことはIaCを実現していくうえで必須のスキルであることを実感しました。当社のような、お客さまに保険サービスを提供する企業にとって、システムのレジリエンスは極めて重要です。自動化や品質の向上は、オペレーショナル・レジリエンスにおける最も重要な要素のひとつであり、レッドハットにはRed Hat Ansible Automation Platformのさらなる活用に向けた支援を期待しています」とコメントしている。