村田製作所は、アマゾンウェブサービス(AWS)へ移行した約1000台のサーバー運用について、キンドリルジャパン(キンドリル)の運用サービスを採用した。9月30日、キンドリルが発表した。同サービスでは、AIOps(人工知能を活用したIT運用)を導入した統合オープンプラットフォーム「Kyndryl Bridge」を活用して高度な自動化を推進、高品質かつ持続可能な体制で運用変革を目指す。
村田製作所は、長期構想「Vision2030」の実現に向けた成長戦略の一環としてデジタルトランスフォーメーション(DX)を掲げ、ITインフラへの戦略的投資を進めている。今回のAWSへのサーバー移行は、社内業務向けや工場系データなどを扱う約1000台のサーバーが対象となる。
同社は、キンドリルが長年にわたり、高い運用品質を維持しつつ継続的な改善と自動化を積極的に行ってきた実績を評価し、新たな領域であるAWS運用についてもキンドリルに委託することを決めた。
キンドリルは2011年から村田製作所とのITアウトソーシング契約を開始し、ビジネス成長を支える基幹システムのITインフラの高性能化、高可用性、俊敏性、事業継続性を担ってきた。両社は2029年6月までITアウトソーシング契約を継続し、キンドリルはビジネスニーズへの迅速な対応やイノベーション創出に注力することで、村田製作所のDXを加速させる。
具体的な取り組みとして、キンドリルはDevOpsを推進し、プロセスや組織体制の見直しを行うことで、より迅速で効率的な運用体制の構築を目指す。この推進にあたり、同社のコンサルタント部門であるKyndryl ConsultがSRE(Site Reliability Engineering)を活用し、インフラとアプリケーションの垣根を越えた運用改善を支援し、システムの信頼性向上と運用の高度化をサポートする。
AWS運用サービスでは、統合プラットフォームのKyndryl Bridgeを活用する。Kyndryl BridgeはIT運用の可視化、自動化による効率化、属人化の排除を図り、キンドリルの持つ膨大な運用データとAIから導出されるインサイトを活用することで段階的な運用高度化を目指す。
また、運用サービスの提供体制については、国内の技術者に加え、優れた技術力と豊富な運用実績を持ち、日本語に対応できるインドのデリバリー技術者を活用する。これは、日本国内のIT人材不足に備え、高品質かつ持続可能な体制を構築する狙いがある。
村田製作所 情報技術企画部シニアマネージャーの久保誠二氏は、ITインフラが事業継続と競争力維持の根幹であり、長年にわたり安定稼働を支えてきたキンドリルの貢献は非常に大きいと確信していると述べる。その上で、キンドリルのAIOpsを中心とした運用高度化とグローバルな運用ノウハウを最大限に活用し、Vision2030の実現に向けて全社プラットフォームの強化と新たな価値創出を推進していくと話している。